「仕掛人・藤枝梅安」を観る
今日は仕事帰りに「仕掛人・藤枝梅安」を観てきた。時代劇専門チャンネルが生誕100年池波正太郎の原作時代小説、藤枝梅安に豊川悦司を迎えて再映画化。片岡愛之助、菅野美穂、天海祐希、柳葉敏郎、高畑淳子らが脇を固めた本格時代劇。
今や嘘っぱちな時代劇になってしまった「必殺仕事人」。ジャニーズ一色だけでなく何か物足らないもの。夕方のBS朝日、藤田まこと主演の再放送を観るとその理由が判る。拘ったライティングとフィルム撮りによる味わい。世相を反映し少々脱線した物語に苦笑いもキッチリとクライマックスの殺陣で締まる。やはり時代劇にビデオ撮りはいただけない。
デジタル撮影が当たり前ではあるが、時代劇たるこの作品ではちゃんと先の必要な韻を踏んでいる。部屋は暗く行燈(あんどん)のささやかな明かりに顔を彩る陰影。豊川悦司演じる梅安がピタッとハマり、色気と悲哀が伝わってくる。元締めとのやり取り、仕掛けのシーン等、趣きある映像が味わい深く劇場で観てこその作品だと思う。
映像に惹きこまれるだけでなく物語もいい。ダークヒーロー梅安の受けた仕事の一つ一つがやがて結ばれていく。しかも若き梅安を巡る背景に結末が切ない。天海祐希演じる女将と対峙する梅安の心中、最後の仕掛けは鮮やかも悲しく映る。殺陣は早乙女太一演じる侍が受け持ち、「座頭市」以来の血しぶきをみせる。
池波正太郎原作らしく食への拘りも垣間見える。食事のシーンが多く、観ていた時間のせいか空腹を誘う。帰り道にそばが食べたくなったよ(手打ちそばを作りたくもなった)。川井憲次の音楽も良かった。今から4月公開の続編も楽しみ。
追伸.
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