「エンドロールのつづき」を観る
今夜は「エンドロールのつづき」を観てきた。昨年の「RRR(アールアールアール)」と同じインド映画ながら対極のストーリーテリング。歌とダンスは控えめに。むしろインド版「ニュー・シネマ・パラダイス」とも言うべき内容ながら、ちょっと味付けは異なり、ある出来事から映画というものを別の視点で見せていく。
チャイ売りの少年サマイは街の映画館が楽しみも父から止められてしまう。そんな時、映写技師のファザルと仲良くなり、劇場の裏方を手伝い始める。正面の小窓からはスクリーン、部屋には映写機やフィルムが溢れていた。だが支配人に見つかり追い出されたサマイ。映画フィルムへの思いは募るばかり。そしてある事を思い立つ。
原題は「Last Film Show」。光への興味、その芸術たるフィルムへの憧憬から始まる物語。仲間たちを巻き込み、その積み重ねが映画を形作っていく。行き過ぎた行為もあったが、その行動にやがて父の心は突き動かされる。2010年が舞台。IT立国インドも田舎では著しい貧困と格差。その裏側は監督の実体験が映されたものでないかと思う。
サマイの家、殊更彼の母の作る弁当作り、異国の文化が興味深い。上方や手元を映し手際の良さ。ファザルが「美味しい」と夢中になるのが判る。そうした物作りの描写は伏線。彼が目の当たりにするある死と転生を丁寧に映す。それによってサマイの決意と成長を表しているのが伝わってくる。
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