「カンフースタントマン 龍虎武師」を観る
今日は「カンフースタントマン 龍虎武師」を観てきた。香港アクション映画にとって功夫を操るスタントマン(= 龍虎武師)の存在は欠かせない。彼らを通して香港映画界の栄光と没落、そして再生する姿をインタビューや当時の作品やメイキング映像から描いていくドキュメンタリー映画。
かつて香港を誇った映画会社ショウブラザーズとゴールデンハーベスト。作品を大量生産する2大スタジオ、そして本土からの京劇指導者の流れは龍虎武師ことカンフースタントマンたちを生んでいく。中国映画と異なる武闘シーンは観客動員に繋がり、アメリカ帰りのブルース・リー、サモ・ハンやジャッキー・チェンらのスターを生んだ。
ジャッキーたちの映画を観てきた我々にはドンピシャな作品。彼らの思い出話に「ドラゴンロード」とその場面が出てきて嬉しくなった。映画ファンならご存知、「プロジェクトA」の時計台からの落下はサモ・ハンのこぼれ話が可笑しい。ユン・ピョウのコンベア上の高速バック転にも驚かされた。また香港スタントマン界でのサモ・ハンの地位を改めて思い知らされた。
彼らのインタビューでの危険自慢(本当に自慢している訳ではないよ)、劣悪な労働環境は今なら思い出話。ただコンプライアンスが厳しい現在からみて笑えない面もある。インタビューでも再起不能、亡くなった方にも言及しているし。
そんな隆盛もやがて経営難からショウブラザーズとゴールデンハーベストは閉鎖を余儀なくされる。その跡地が映されると寂しい。ただ香港の中国本土返還の影響はあるはず。その点は本作製作に中国本土が絡んでいるのでオミット。また行間からはかなり厳しい雰囲気が漂う。あとジャッキーのインタビューは一切無いのは何かしらの意図を感じたり。
だからといって彼らは立ち止まらない。彼らの技術、レガシーは本土や海外へ逆輸入されたり、若手スタントマンを養成しようとする動き、新作発表の場での交流等を見るにつけ、まだ香港映画の火は消えていないと思いたい。
インタビューには名を知る人、知らぬ人、それでも顔は知っている人が多数登場。個人的には「インファナル・アフェア」のアンドリュー・ラウ監督とエリック・ツァンかな。ラウ監督が「霊幻道士」に参加していたとは。エリックは相変わらずの語り口。あと『香港のスピルバーグ』ことツイ・ハークも年をとったものだなぁと。

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