「サウンド・オブ・007」を観る
今日はAmazonプライムビデオで「サウンド・オブ・007」を観た。「ドクター・ノオ」から最新作「ノー・タイム・トゥ・ダイ」まで音楽で紐解くドキュメンタリー。AmazonがMGM買収と同時に手に入れた007シリーズ。冒頭のロゴ通り、本作はAmazonオリジナルとなる。
ひと昔前なら映画音楽を楽しむならその作品を観るか、サントラを聴くかしか手段は無かった。それがDVDの登場により、コンテンツとして収録される事も少なくない。そこに音楽ドキュメントもあったが、新作登場のたびアップデートされるし、何しろ歴史が長い。本格的に迫ったドキュメントは本作が初めてでは。
冒頭、モンティ・ノーマン作曲による「ジェームズ・ボンドのテーマ」について語られる。本当はこの一曲だけでも時間が足らないし、ジョン・バリーと裁判になる程に揉めた出来事(以前NHK「アナザーストーリーズ」でも採り上げられた)。その辺の確執はバッサリ、だが二人の功績はキッチリと説明されていた。
そんなボンドのテーマ、主題歌、そしてスコア。ボンド映画を構成する3つの音楽要素。やはり25年担当したジョン・バリーの仕事が素晴らしい。主題歌にスコア、そしてそのアレンジとボンド色を確立していった。ただ以前のドキュメントにあった「007のテーマ」に関し、クラシック・ボンドに欠かせないものながら今回は触れられていない。
そしてジョン・バリーの手掛けた主題歌ではやはり「ゴールドフィンガー」。シャーリー・バッシーとの録音時のエピソードは知っていたが、作曲時の話は今回が初めて。そこをあの超有名俳優が自らのエピソードとして語っている。全世界で初めて聴いた「ゴールドフィンガー」はさぞかし貴重だったろう。
対してデュラン・デュランとのエピソードは最悪。共同作業を嫌ったバリーと彼らでは水と油。それだけが理由ではないが、「美しき獲物たち」を最後に007シリーズを卒業するバリー。彼の仕事は007に限らないが、今も続くシリーズは彼の存在はあってのもの。今回のバリーのインタビューは全て貴重だ。
主題歌のエピソードでは最近の作品が多くなってしまうのはやむ得ない。それでも「死ぬのは奴らだ」や「私を愛したスパイ」の件は深掘り、さらにあまり世間に評価されなかった曲の事も。ただクリス・コーネルの「You Know My Name」が取り扱われなかったのは残念。あれはクレイグ・ボンドの名曲なのに...
その代わりに同じ「カジノ・ロワイヤル」はデヴィッド・アーノルドの「My name is Bond...James Bond」をじっくりフィーチャー。「スカイフォール」「スペクター」で音楽を担当したトーマス・ニューマンが手を付けられない程素晴らしいと絶賛していたのが嬉しい。今もバリー節の後継者はデヴィッド・アーノルドだと信じて疑わない。
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