「キングメーカー 大統領を作った男」を観る
今日は韓国映画「キングメーカー 大統領を作った男」を観てきた。1960年代を舞台にした実話ベースの政界ドラマ。選挙で惜敗を続けていたウンボムの前に現れたチャンデ。大義を重んじるウンボムに対し、ブレーンとなったチャンデは手段を選ばない戦略で挑むのだった。
冒頭のテロップで実話と促すが、全て登場人物の名は変えられている。だがその時期と成り行きをみていけば、ウムボムのモデルが金大中氏である事に気付く。劇中のウンボムとチャンデの共闘とその結末。のちに再会する二人はフィクションと思われるが、17年の経過と交わされる会話に掲げた大義と現実が垣間見えてくる。
二人で挑む最初の選挙でのチャンデの繰り出す作戦の数々。有権者への賄賂は当たり前。しかも政敵の戦略をも利用する。それゆえに政府与党に恐れられ、影と呼ばれていく。それぞれ時代の成せる戦略ながら、その根底は敵陣営の分断が目的。地方から大統領選挙へ、チャンデの戦略は国まで分断していく。
分断とは国を治めるための戦略、民族に人種、収入や社会的地位による格差とあらゆるものが政治に利用されてきた。特にこの10年の出来事、それより前から日本の政権与党の力添えに韓国の某団体が糸を引くとは何たる因縁。この映画に壺団体は出てこないけど、発端は当時の政権と無関係であるまい。それだけでもう一本映画ができるだろう。
力強い演説で人を惹きつけるウンボム、演じるソル・ギョングの存在感。ただその影となるチャンデの姿があってこそ。袂を分かち、横断歩道の影が人混みに紛れていくシーンが印象的。チャンデを演じたイ・ソンギュンの知略ぶりはその演技に表れている。ユーモアを織り交ぜつつも全体的にクールな政治ドラマでとても興味深かった。

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