大城文章[チャンス大城]著「僕の心臓は右にある」(Kindle版)を読む
大城文章著「僕の心臓は右にある」(Kindle版)を読んだ。著者名は本名、実態は地下芸人チャンス大城。「水曜日のダウンタウン」のドッキリ企画等で異彩を放つ著者が、幼少期から夜間高校、NSC時代に上京して現在までの道程を事実とユーモアで綴った回顧録。短いエピソードを重ねながら読み易くあっという間に読了。
タイトルにあるように心臓の位置が醸す不気味さもあるが、その根底は生まれもってのクリスチャンである事、そして育った尼崎という環境と個性的な家族、友達等々の影響を受けた結果が今のチャンス大城を生んだ。しかも22才で予言された32年後のブレイクとその熟成期間をもっての事。その全てが愛おしく可笑しい。しかも時々恐ろしい。
同世代というのもあって地域的な違い以外は重ねる部分が多い。やはりイジメに関する部分は共感もあるし、一方で想像以上の出来事に驚愕する。のちに「すべらない話」で回顧する事になる"埋められた"事件なんてもう犯罪だよなぁ。「恐怖のヤッちゃん」を思い出したよ。そりゃオドオド生きたくなる気持もわかる。
そして芸人になるべくして出会う人たち、エピソードに掛けられた言葉のライブ感。その積み重ねに感謝する姿はまさにクリスチャン。神の存在と共に何処か神秘性のある世界観はチャンスさんならでは。中でも上京した後のバイトでのエピソードは神懸かっている。まさかあの人をナンパ、合コンするなんてね。
このまま映画になりそうなくらい各々のエピソードが尖って濃い。ちなみに地上波での映像化はコンプラ関係で絶対無理。こりゃネットフリックスは黙ってないだろうな。もちろん吉本も。上京後の登場人物は全て本人で演って欲しいくらい。そんなこの本は夏のひと読みにオススメ。

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