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2022/06/26

もし未来を想うなら...「PLAN 75」を観る

今日は倍賞千恵子主演の問題作「PLAN 75」を観てきた。今年のカンヌ「ある視点部門」で注目。舞台は75才以上の国民に死の選択と国がサポートをする「プラン75」政策下の日本。先日の「アシタノカレッジ」を聴いて迷った背中を押された次第。今年観た邦画の中で距離感と共感度は随一。おかげで最後まで見入ってしまった。

映画はあえて20XX年と表すような事は避け、我らの住む社会と寸分違わぬ世界...ただ一つ「プラン75」という政策は除いて。建物も走る車も皆同じ。行政サービスも入口はフレンドリーに、出口(=選択死)はシステマティック。劇中の政府広報がまるでマイナンバーカードのCMを観ているようで気持ち悪く映る。

物語は「プラン75」を受け入れていくミチ(倍賞)、サービスを提供する窓口行政のヒロム(磯村勇斗)、「プラン75」の最終段階に携わるマリア(ステファニー・アリアン)を通して描かれていく。サービス下ではあえて客観性を排除、只一人の表情や姿だけを映す。一方サービスを超えて両者が繋がる時に初めて同じフレームに収まり対照的だ。

倍賞さんの影がある表情も印象的だった。ほぼ全編、顔をシワを恐れずにノーメイク。夜勤に作業着で道路に佇む背中。しかし様々な過程を経て、太陽に晒される顔の清々しさ。叔父を案じた磯村演じるヒロトの想いにも感情移入した。

この映画は20年前に作られていれば本当にSF、絵空事に感じただろう。だが今はそこにある危機感。そして20年後、身につまされる立場となる。市井の人々に突きつけられる未来。こんな法律が作られてしまったら簡単に国会を通されてしまうだろう。ただおそらく政治家も既得権益者も「プラン75」を使わないけどね。

閑話休題、映画では結局未来を描くとディストピアになってしまう。「ブレードランナー」に「トータルリコール」然り(全部P.K.ディックかよ)。ただそんな世に一石を投じたのが「バック・トゥ・ザ・フューチャー PART2」(1989年)だった。「底抜けに明るい未来を...」が2015年描写(製作当時)のコンセプト、この作品以外でそんな世界は観た事ない。

ただそんな「バック・トゥ・ザ・フューチャー PART2」であっても、ある出来事が歴史を狂わせる。巨額を手にしたビフによる政治介入だ。ハチャメチャな統治で社会は悪化。(この時のビフ=トランプをモチーフの説もあるが)結局未来は政治次第という皮肉が込められている。

時は夏の参院選。もし未来を想うなら...是非、選挙と映画「PLAN 75」はセットで鑑賞して欲しい。

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