WOWOWオリジナルドラマ「TOKYO VICE」を観る
WOWOWオリジナルドラマ「TOKYO VICE」(全8話)を観終わった。「ベイビー・ドライバー」のアンセル・エルゴート、そして"世界の”渡辺謙出演の犯罪ドラマ。マイケル・マン製作でついつい「マイアミ・バイス」からバディものをイメージしてしまうが、そもそも"VICE"には「犯罪に直結する悪い風習」を指す意味があるらしい。
1990年代を舞台にジェイク・エーデルスタイン(劇中主人公の名も同じ)の実体験を基にしたストーリー。日本の大学を卒業、東京に留まり新聞社に就職したジェイク。事件記者となり警察回りをする中、予てから興味のあったヤクザの世界に近づいていく。そしてある事件の接点に関西から進出を狙う組織が浮上する。
ヤクザに夜の街と「ブラック・レイン」を思い出すが、誇張された世界観は無く、むしろドラマはドキュメンタリー調に進む。HBO共作ゆえ世界市場を踏まえれば一般人、ヤクザに限らずスラスラと英語を操る日本人の登場はこの手のドラマで多少は目を瞑るべき。むしろ「ブラック・レイン」との共通点、極東の島国でのガイジンの立ち位置は興味深い。
日本ロケ、しかも90年代と制約ある舞台でかなり作り込んでいる感じは伝わる。僅かに映ったくら寿司の看板に面食らったが、殆どのシーン、街の雰囲気は明らかに90年代になっていた。ジェイクの部屋は日本の安アパート(正確には飲み屋の2階)。部屋に転がるソニーのカセットテープCHFが懐かしい。
さてドラマ本編はマスコミ側のジェイク、警察側の片桐を軸に物語は進む。日本社会に溶け込んだジェイク、アンセル・エルゴートの演じっぷりがいい。彼と日本人キャストとの演技に違和感なく、観る側として物語に没入できる。日本人キャストによる警察、暴力団、彼らに絡む人々、マスコミを活き活きと演じ物語を盛り上げる。そして"安定"の渡辺謙に若手筆頭、笠松将の存在が印象に残った。
最終話、多くの謎を残し物語は終わる。既に報道されている通り、シーズン2製作決定との事。今回の全8話は物語に動きはあれど、あくまで導引に留めて世界観を楽しむシーズンであったと思う。是非シーズン2では波乱のドラマで楽しませて欲しい。原作本(原案)読んでみようかな。
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