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2022/06/10

「マイスモールランド」を観る

今夜は「マイスモールランド」を観てきた。日本に住むクルド人家族とその長女サーリャが遭遇する出来事を描く。父マズルムの難民申請が受けられず、家族たちの生活は大きな制約を強いられ、マズルムは不法就労扱いで入管施設に収容されてしまう。

クルド人難民をニュース等で耳にしても、何処まで知っているかは劇中サーリャのボーイフレンドと大差ない。ただ知らぬふりをするより、知っておくべき事。この物語はフィクションであるものの、取材の上で散りばめられたエピソード。日本が外国人、難民に対してどのような施策をしているか。急激に増えた彼らに対して冷酷な現実を突きつける。

画面の持つ生活感、ドキュメンタリータッチの映像は製作に是枝裕和が参加、川和田監督が是枝組の一人である事も大きい。違いはあれど監督自身の経験、アイデンティティーもこの物語に重ねた感はある。二つの祖国、加えて失った祖国に複雑な境遇。サーリャの青春と成長のドラマにそれを体現する嵐莉菜の表情に惹かれる。

ただ個人的には父マズルムを演じたアラシ・カーフィザデーが良かった。(親目線で) 国の違いはあれど家族への父親の想いは変わらない。時に厳しくもラーメン店で家族との食事シーンが可笑しく、対照的に最後に控えるサーリャとの面会は二人の想いが繋がるだけに悲しい。

この作品は性急に結論を求めず、サーリャが父マズルムに対する理解で結ばれる。タイトルはマズルムが弟ロビンに示唆する姿、再び妹弟たちが集い遊ぶ様子を表す。学生時代を過ごし、日本人になりつつあるサーリャの葛藤。かつ様々な障害の中、彼女が取り戻したアイデンティティーでもある。作品はその感動より考える機会を与えている気がした。

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