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2022/05/21

「ユダ&ブラック・メシア 裏切りの代償」を観る

WOWOWで録ってあった「ユダ&ブラック・メシア 裏切りの代償」を観た。昨年のアカデミー賞で2部門を受賞も日本公開されなかった作品。1960年代の黒人差別反対運動下のアメリカ。ブラックパンサー党とFBIの攻防、その最中で起きた実際の出来事を描いていく。

自動車泥棒の罪で捕まったウイリアム。だがFBI捜査官からある取引を申し出される。ブラックパンサー党に侵入して情報を提供する事。FBIはイリノイ州支部長フレッドのリーダーシップ、立場の増大を恐れていたのだ。取引を受け入れたウイリアムは支部の警護係として働き始める。

タイトルの「ユダ&ブラック・メシア」はウイリアムとフレッドを表す。そのどちらかは推して知るべし。ユダの天命はまるで本編最後に控える本人のインタビュー映像が表しているよう。本編中は抜けるに抜けられなかったウイリアムの立場、その顛末が衝撃的に映る。

映画としてあくまで主役はフレッド・ハンプトン。その演説、惹き込む力強さはダニエル・カルーヤの演技の賜物。ブラックパンサーでの活動は黒人の地位向上、社会貢献に限らず。機会あればと命を狙うFBI。それが白人至上主義の闇の側面。その狡猾さ、銃と暴力を手段にするところが恐ろしい。

映画の中でフレッドと恋人の関係、ブラックパンサーでの活動が描かれていくが、フレッドのドラマの部分に厚みはあれど、やはり最後のインタビュー映像の衝撃に敵わない。ただ今も続くブラックパワー、BLM運動の源泉たる歴史を知るのに興味深い作品だった。

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