「TITANE/チタン」を観る
今日、仕事を終え連休突入。そこでベルギーとの合作フランス映画「TITANE/チタン」を観てきた。昨年カンヌ映画祭のパルムドールを受賞。事前情報は最小限に留めるもハード描写はR15+からも察せる。観始めると1分後何が起こるか判らない、想像を遥かに超えた映画だった。
アレクシアの艶かしいダンスで幕を開ける本作。エロい映画と喜ぶのは最初だけ。立て続けに起こる惨劇に思わず視線を外したくなる。やがて逃避行を図るアレクシアに大きな転機が訪れる。そこからがこの物語の真骨頂。唯一つを除いて誰も結末を予測できなくなるだろう。
タイトルの通り、肉体と金属の融合がテーマに感じられ、かつてのB級SFや日本のマンガに触発されたオマージュともとれる。アレクシアはエロスの果てに辿り着く結末。神とキリストを口にするヴァンサンの役割に納得。その姿、実に神々しく「2001年宇宙の旅」を彷彿する。
ヴァンサンを演じるヴァンサン・ランドンの悲哀と懐の広さ。冷え切った展開の中、時に笑わせてくれる。心肺蘇生の機会があれば是非真似してみたい。彼の優しさがあったからこそアレクシアの心境に変化が現れたのだと思う。
あまりに破天荒な映画ゆえ常識を求めるような人に勧められない。しかも前半の血生臭さに裸のオンパレードも一見女性に不向きな感じ。ただ凄まじいエネルギー、最初から最後まで見逃せない尖り具合が堪らない。アレクシア役アガト・ルセル渾身の演技と共にとにかく覚悟して観るべし。

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