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2022/01/30

「空白」を観る

今日はNetflixで日本映画「空白」を観た。昨年公開されたが、第5波と緊急事態宣言下でやむを得ず劇場鑑賞を諦めていた。名バイプレイヤー古田新太主演。無骨な漁師が娘を事故で失い、感情をぶつけ事故の関係者と対峙する中、自らを問い直していく姿を描く。

この映画は世の不条理と人の不器用さを描く。古田新太はまるで「その男、凶暴につき」の如く、事故の発端となる店長を演じる松坂桃李にきつく詰め寄る。対して周りから投げ掛ける言葉は裏腹、本当の感情は当事者にしか判らない。

遺体を目の前にした時の憤り、娘に報いようと荒ぶる主人公。やがて突きつけられる事実と自らを見つめ直す姿に心を鷲掴みされる。一方、情報の切り取り方で被害者が社会から逆リンチされてしまう理不尽さ。SNSによって加速する今を鋭く描いている。

娘を演じた伊東蒼の存在が鮮烈。それだけに事故に遭う衝撃度はPG12指定を超える。ただ物語が伝えたい不器用さ、心の痛み、相手への想いは年齢を超えて捨て難い。しかも演じ手は皆、芸達者。小さなエピソードの一つ一つも光り、物語を紡いでゆく。

この映画と違うが、身近な話で当事者でないものの理不尽な死に接した。迎い入れる立場としてどのように対峙していけばいいか。この映画の中に少なからず感じるものがあった。

閑話休題。内容の違いはあれ、昨年の「すばらしき世界」と同じ、社会との共存は隠れたテーマ。登場人物それぞれに今を生きる光が差す終局も好感。非常に重い物語だが、最後まで観て欲しい群像劇である。

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