「クライ・マッチョ」を観る
今日は盟友N氏とクリント・イーストウッド監督・主演の「クライ・マッチョ」を観てきた。ファン誰もが認める映画界のレジェンド最新作。恩人からメキシコにいる息子を連れ出すよう頼まれた男の姿を描く。
誘拐、逃亡劇でありながら、銃は撃たず派手なカーチェイスがない。ネット時代以前、淡々とした流れは作品の舞台が1980年によるところ。そんなゆったりと観る側がキリキリしない展開ゆえ、物語は主人公マイクとラフォの交流が主軸となって彼らの心情が手にとるようにわかる。
そんな心の交流にはロードムービーがよく似合う(メキシコでの道中に思わず「ターミネーター2」を思い出した)。しかも道中での出来事が二人の絆を深めていく。マイクがラフォのためにつく細やかな嘘、重なるラフォの想いが二人の関係の全て。最後に車中、マイクがかける言葉が深い。的確なカット割、力の抜けた演出はイーストウッドらしい。
道中での見知らぬ村での家族を感じるやり取りが暖かい。生活感ある描写、食堂でのダンス、包み込む音楽が心地いい。競馬ファンとしては裸馬を馴致していく過程が興味深かった。イーストウッド=マイクの朴訥なセリフ。彼を尋ねる人の列に思わず「俺はドリトル先生か?」は苦笑。
本作はイーストウッド作品の中では小品。だが何とも言えない清々しさがある。やっぱりイーストウッドの映画作りが好きだ。そんなエンドロール、「COVID MANAGER」など二つの役目が記され、コロナ禍での撮影を実感させられた。
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