「日本沈没ー希望のひとー」を観る
TBSドラマ「日本沈没ー希望のひとー」の最終回を観終えた。子供の頃に観たドラマ版「日本沈没」は今も記憶に残る程の衝撃。ただ2006年の映画版リメイクが???な出来だったゆえ、今回も期待より不安が大きかった(つい最近、似た言葉の使い廻しをしたような)。
タイトルに「希望のひと」と付くようにマイルドになった本作。これまで主人公は潜り屋小野寺俊夫から交代し環境省の天海啓示に。ただもう一人の主人公、地球物理学の権威田所博士は変わらない。「日曜劇場」らしく香川照之の濃ーい演技で存在感を発揮していた。
内容がマイルドになった理由は東日本大震災を経験した事が大きいだろう。対してPTSDなんて言葉の無かった1973年のドラマは全26話を費やして日本沈没を表していた。特撮の迫力は近年のCGに劣るが、今も手に汗握るほど。海面から天守閣が頭を出す大阪城の悲哀など名シーンも思い出される。
対して今回は東京湾周辺からの関東沈没後の映像が印象的。ドラマ部分の撮影は今年春先に終えていたとの事。そこから期間が開いたのはこれら映像作りのためだろう。関東沈没後の映像はその賜物。ただ残念ながらそれ以外の描写はCG臭も強く、クオリティは微妙に思えた。
物語は如何にも「日曜劇場」、「シン・ゴジラ」のアプローチを踏襲した政治劇に変わった。駆け引きとミスリードの応酬。ただ日本国民を相手にする人間ドラマながら受けるスケール感は乏しい。大きな要因は全9話の限界。最終話残り30分、駆け足で日本が沈没。正直その結末はご都合主義かと。
更にドラマ部分は微妙。力み気味な若手(特に未来推進会議の連中)より、石橋蓮司や國村隼らベテラン勢の磐石な演技に惹かれる。そうでなかればこのドラマはとても観れるレベルに無かった。
ただそれでも2006年の映画版よりは全然マシかと思う。例えば報道記者会見で総理や官房長官へキツい質問を喰らわす場面。現実は閉鎖的なシナリオ通りの会見。政治への皮肉か、マスコミ自らへの戒めか。かいかぶり?まぁそこまで考えちゃいないか。(おしまい)
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