「マトリックス レザレクションズ」を観る
今夜は「マトリックス レザレクションズ」を観てきた。期待より不安が大きかった(つい最近、似た言葉の使い廻しをしたような...)が、観終えてその出来に満足している。この満足感、今年観たあの映画に近いアプローチだったからかもしれない。
衝撃的な映像で描いた第一作、その後大きく風呂敷を広げた続編二作で全三部作。正直、第三作はインフレ気味の映像表現と仮想世界の組み合わせに物語の収拾が十分と言えなかった。ただそこに散りばめたピースが今回の「レザレクションズ」で活かされている。
本作は続編でありリスタート、劇中のセリフを用いれば「セカンドチャンス」。目線を変えて物語を見下ろせば、ネオの成長が見えてくる。それはあの「シンエヴァ」との共通項。「シンエヴァ」が少年の成長なら、この「レザレクションズ」は少し年齢を上げた人生の成長。アナリストの皮肉なセリフも達観したネオのセリフが切り返す。
哲学的、禅問答のような「マトリックス」らしいセリフは健在。前半、展開が地味に映るだろうが、セルフパロディーのような前三作の取り込み方が面白い。それだけに一見さんお断り。復習しないまでも前三作を観てる事が前提。本作を観ながら色々思い出す事も多かった。
ネオとトリニティー以外キャストはほぼ一新。その理由は本編で語られる。実際、第三作から17年経っているわけで、テクノロジーの変化など物語に与える影響はある。これまでの作品の公開時期共々これも「エヴァ」との共通項と言えるのではないか。
それでいて「レザレクションズ」の映像表現は適度で物語を重視(と言って手を抜いているわけでない)。ヤリ過ぎ感がないのがいい。ある表現は日本の人気マンガを思わせるが、それは偶然だろう(いや確信犯かも)。とはいえ、クライマックスのバイクチェイスはこれでもかの連続。コロナ禍でここまでよくやったと思う。
物語はまるで第一作の韻を踏むように終わっていく。ウォシャウスキー監督の言葉を代弁するかとようなシリーズものへの皮肉もあったし、これ以上の続編は必要無し。もう「マトリックス」は卒業でいいんじゃないか...ってこれも何処かで書いた言葉のような。(おしまい)

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