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2021/10/31

「おかえりモネ」を観る(完走)

朝の連続テレビ小説「おかえりモネ」を観終えた。「まんぷく」以降はここ数年録画で観ていたが、前々の「エール」以来の完走(「おちょやん」は一カ月ほどで挫折)。「おかえりモネ」はNHKドラマ「透明なゆりかご」の安達奈緒子作、清原果耶主演のコンビ、気象予報士を目指すヒロイン百音の奮闘と成長の物語。

当初爽やかな番宣と異なり、朝ドラとしては重い物語に思えた。一つはまだ生々しさの残る東日本大震災を描いている事。まだ10年。震災が直撃する故郷、偶然その地を離れていた百音。これを機に彼女の葛藤が始まる。迷いの中、人の役に立ちたいと気象予報士を目指す。ただそれはこのドラマの過程であって目的ではない。

もう一つはヒロインの葛藤。百音は常に迷う。物語上重要さのないエピソード以外、順風満帆な展開は与えられない。そこが映画的で朝ドラに不向きな感もある。観ている側が息苦しいと思える時もあった。ただそれらの回答は自らの行動に周りの人々の言葉が一筋の光、希望を与えていく。これまでの朝ドラ以上に群像劇の様相が強い。

物語は百音の妹未知や幼馴染みの亮、亮の父新次、そして百音の両親の背負ってきたものに及ぶ。物語が今に近づくに従い、過去のエピソード、セリフの一つ一つが結ばれていく。緻密に組み合わされた脚本はこれまでの朝ドラに無いもの。登場人物は不器用ながらも共感を視聴者と共に育む。その点も新鮮だった。

百音が気象予報士として新たな一歩を目指すところで物語は結ばれる。そこに降り立つ菅沼先生とのやり取り。「あなたと僕は違う時空を生きているのか」のひと言からのセリフに彼女の成長が汲み取れる。清原果耶は本当に器用に不器用を演じる女優さんだと思う。半年間、見応えのある一篇ありがとうございました。

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