「ラスト・ムービースター」を観る
Amazonプライムで「ラスト・ムービースター」を観た。70~80年代初めのアメリカ映画を代表するスター、バート・レイノルズ主演。かつてのマネーメイキングスターながら、今は冴えない大物俳優を演じる。
かつて大スターと名を馳せたヴィック・エドワーズ。だが年老いたヴィックにその面影はない。そんな彼に映画祭招待の便りが届く。歴代招待者にデニーロやイーストウッドが名を連ねるも、親友の助言もあって渋々出掛けるヴィック。映画祭の行われるナッシュビル。空港に降り立つと一台のリムジンが止まっていたのだが。
アメリカンフットボール選手から映画スターへ。まるで彼自身を地で行くようなセルフパロディー作。懐かしい「トランザム7000」のシーンが挿入され、老いたバート・レイノルズとの掛け合いが可笑しい。通り過ぎた人生を回顧しつつ、価値ある第三幕を切り開こうする主人公に泣けてくる。そんなヴィック=バート・レイノルズを通し、人生とは?と観客も問われているような気がする。
ロードムービーとしてもこの作品は楽しい。舞台のナッシュビルや道中でのBGMはカントリーで郷愁を誘う。そして意固地になったヴィックを娘のようなリルとのやり取りが解きほぐす。思い立ったように自分の過去を探しに行くヴィックに呆れながらも後を追うリル。そんな彼女も人生と対峙するヴィックに理解を示し始めていく。大スターらしい、高級ホテルでのエピソードなんてリルでなくとも惚れてしまうだろう。
この作品は彼最後の主演映画となった。でもそんな寂しさより、この映画で彼は前向きな姿で物語を閉じていく。自虐的に「最初を観て、結末の判る映画ばかりに出て」というセリフがあったが、そんな事気にしないよ。バート・レイノルズはアメリカ映画らしさを体現した俳優の一人。「トランザム7000」「キャノンボール」だって楽しかった。改めて楽しい映画ありがとう。最後の主演映画、最高に良かったです。
追伸。果たして親友のチェビー・チェイスは次のナッシュビル国際映画祭の招待を受けるのかなと...。
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