「薬の神じゃない!」を観る
今日はWOWOWオンデマンドで映画「薬の神じゃない!」を観た。2018年製作、実話ベースの中国映画。日本では昨年公開され、クチコミで人気となった作品でもある。
2002年中国。滋養剤を売る薬局店主のチョン・ヨンがあるきっかけで国内認可された高額のスイス製薬剤と同じ効果のある安価な白血病用のインド製薬剤を密輸入する。最初は金目当てだったチョン。だが人々との出会いを経て赤字覚悟で密輸を続けていく。だが警察はそんなチョンの行動を見逃さなかった。
チョンの始めた行動が最終的に国を動かす事になる中国情話。クライマックス、チョンが目の当たりにする光景が何とも心に沁みる。エンドロール前のテロップでその後が語られ、これまで苦しんできた人々がここまで改善、恩恵を受ける事になったのか...と思い知らされる。ただそれこそ当局の思うツボ。だからこそ検閲を通した真意、多少のプロパガンダはある。
とはいえ、監督の真意はこの映画の背景にある。中国の格差社会、富みを得る者のみ恩恵を受けるシステムは根深い。90年代の惰性で進む日本とて変わらない。 リュの依頼が無ければ、チョンも鳴かず飛ばずの男のままだったろう。この映画に庶民目線はあっても、最後のテロップを除けば国目線は無い。そこが琴線に触れ、中国国内のヒットに繋がったのだろう。かくいう我々もだが。
チョンを演じるシュー・ジェンに親近感が沸く。「会社にいるよ、こんな人」という風貌。彼と息子のやり取りは多く無いが一つの軸。子離れした時のチョンがその後の彼の行動のきっかけとなった。親子、家族、盟友らを丁寧に描いていく事でその行動を後押し。この映画はアジア的な優れた群像劇で最後の感動に繋げている。観始めた時にあった頭痛が終わる頃に無くなっていた。この映画はオレにとってはいい薬だった。
エンドロールの最後、上映方式が出てくるが、IMAXや4DXなんてあると、この映画どんな感じに見えてくるのかと思う。これもある種、中国の勢いの表れなのかもしれない。
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