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2021/09/11

「ミッドサマー」を観る

WOWOWのW座で録ってあった「ミッドサマー」を観た。スウェーデンのとある村を舞台にした作品。一見ホラーかもしれないが、ジャンルとして複雑。「アンバランス」のようなかつての円谷ドラマに出てきそうな題材。ただR15+映画ゆえ早朝鑑賞で家族の目を回避。グロい描写より、むしろあっち系のボカシ画に注意して欲しい。

両親と妹を失ったダニー。彼女は恋人のクリスチャン、マーク、ジョシュと共にその友人ペレの故郷、スウェーデンのホルガを訪れる事になった。村は90年に一度の夏至を祝う儀式の時。牧歌的な雰囲気の中で進んでいく祝祭。だが間もなく行われた儀式を目の当たりにし、ダニーはその異常さに恐怖と疑問を持ち始める。

儀式をテーマにした映画は数あれど、結局は神(または悪魔)に身を捧げ目的を達成する過程が描かれる。個人的にこの手の映画の一番手は月曜ロードショーで観た「悪魔の追跡」。子供の頃のトラウマ。ピーター・フォンダの逃亡劇もタイマツを持った信者に囲まれてジ・エンド、その夜景が今も忘れられない。

最近なら旧劇エヴァ。人類補完計画はゼーレと碇ゲンドウが仕組んだ儀式。儀式にはエヴァシリーズを依り代に碇シンジの精神を捧げる。その果てに肉体はべっちゃり。でも今回の「ミッドサマー」もべっちゃり。ヒーロードラマの採石場みたいな場所、呆気に取られて気がつけばかなりグロい描写。さらにクールポコよろしくトドメのために振りかざす。R15+は伊達じゃない(そんな描写を朝飯食べながら観てたけど)。

疑問を持つダニーたちも村の解放感と媚薬のおかげで儀式を受け入れてゆく。そもそもクリスチャン、ジョシュはその儀式に興味を持って村を訪れた様子。ただそれすらホルガ村のシナリオ通りだったのは言うまでもない。そして彼らを待つ悲劇。村の均衡を保つために身も心も捧げる羽目になる。ラストシーン、ダニーの表情は意味深。村の儀式は結果、ダニーのための補完計画だったのかもしれない。

でもやっぱクリスチャンを招き入れた儀式には参る。これだけのボカシは「探偵マイク・ハマー俺が掟だ!」以来。でもエロさよりも大胆さ。あれだけの人に囲まれてじゃ怖さしかない。さすがにR15+は伊達じゃない。

それらに比して村の描写は無垢で衣装や美術、草花が鮮やか。だから残酷描写が際立つ。そして村の作る集団心理の怖さ。アリ・アスター監督の描きたい「ミッドサマー」の怖さの根源はここにあるんだな。

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