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2021/08/12

「ザ・クラウン シーズン3」(吹替版)を観る

Netflixで「ザ・クラウン シーズン3」(吹替版)を観終えた。キャストが交代して紡がれる物語は60~70年代。貫禄が増したエリザベス女王をオリビア・コールマンが演じている。彼女演じる女王はクールで本当にブレない。「女王陛下のお気に入り」といい、もう彼女は女王女優だなと思う。特にルックスは史実を描く上で重要で本当に瓜二つと思える。

前シーズン以上に家族間の物語の色が強くなった。その要因は成長したチャールズ皇太子の存在にある。今も王室報道の中心にいる皇太子。英国の人には身近な話題なんだろうが、遠い島国のオレには初めて知った事が多かった。長い伏線が今の皇太子を作っていたのだと。

本作原作のピーター・モーガンは構成していく上で実に不器用な皇太子像を作っている。家族間、女性関係、そして王室、王位継承者の立場。平民には想像の及ばない苦悩。ウインザー公爵との共通性は伝統を重んじる王室でその悩みを強くする。皇太子を演じるジョシュ・オコーナーがこれまた素振りも含めてよく似てる。個人的には妹、アン王女のドライな感じも好きなんだけど。

ヘレナ・ボナム=カーター演じるマーガレット王女は個性的。これまで王女を演じたヴァネッサ・カービーに比べオバさん度は増したけど、夫婦間の問題に晒される姿は彼女の演技あってこそ。英国の経済危機に米国ジョンソン大統領に取り入る等、王室の立場、重要性も描かれている。

海外競馬ファンにはおなじみのプリンスオブウェールズステークス、その地でのエピソード。そこに競馬話は出てこないけど、当時チャールズ皇太子が叙され中断されたこのレースが再開したとの事。劇中、ウェールズ語に習得にまつわるエピソードも良かった。ただその意思を見透かした女王は凄いけどね。

対して女王は好きな競馬、競走馬のために一ヶ月も外遊。フランスのケスネー牧場では配合を、米国ではクレイボーンファームのトレーニングや馬作りを見学している。平成後半、日本競馬界で似た馬作りの話が出ていたが、本作の描いた時期は遥か昔。それだけで興味深かった。

ここまで「ザ・クラウン」に惹かれる理由。「ゴッドファーザー」や「華麗なる一族」に似た源流を感じるからだ。想像を超えた格式と生活、それでいて抱える悩みは我々と変わらない。だから登場人物たちに感情移入していく。いよいよ次シーズン、物語は鉄の女とダイアナ妃が登場。史実とその裏側に目が離せない。


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