「サマーウォーズ」を観る
Netflixで細田守監督作品「サマーウォーズ」を観た。これまで、ほぼ毎年金曜ロードショーで放送されているのに一度も観た事は無かった。そろそろNetflixも解約だし、夏も終わりだしというタイミングで観る事に。
いや驚いた。2009年公開から10年以上経ても全く古さを感じない。劇中でデバイスはケータイも多いが、VR表現は公開当時に先を行っていた。AI、社会の混乱等、最近観た映画「AI崩壊」が似たプロットを使っていたが、面白さはこちらが遥かに上。しかも様々なテーマが含まれている。
その一つが日本の原風景を感じる点。長野県上田市を舞台にヒロインの家族が集まるところで物語が始まる。大家族、親子、コミュニケーション、そして食に文化。もちろん田舎風景も。これらは今の日本に無くなりつつあるものばかり。だが物語の中で現実と仮想世界が共存、前進していく姿が描かれている。
物語の原動力は栄さんによるもの。一族のアイデンティティーであり、意気消沈した家族を一つにする。印象的だったのはOZで混乱した社会を目にして、コネのある関係各所に黒電話で働きかけるシーン。できる事は限られる。でもやれる事はやる。その覚悟に感動。だが現実、コロナ禍の今。残念ながらメディアを通した政治家にその熱意はない。
登場人物の配置も巧い。真のヒロインは栄ながら、そこまでの伏線といい、世代交代を絡めつつヒロイン夏希が最終決戦の舞台に立つ。格闘バトルはキングカズマに任せつつ、現実での万助との師弟関係が泣かせる。万助の演じるのは永井一郎さん。物語をギュッと締める声に懐かしさと名演を楽しんだ。
主人公の健二は狂言回し的に物語を引っ張りながら、最後はキッチリといい仕事。ウブさを表す演出も可笑しい。神木君が声をあてると映画が当たる、その伝説はこの作品から始まった。
今回、細田守監督作品を観ること自体初めてだったが、噂に違わず名作だった。次からは「金ロー」でも観ようと思う。あと同系テーマの新作「竜とそばかすの姫」も観たいけど、コロナ禍じゃなければなぁ。
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