「なぜ君は総理大臣になれないのか」を観る
Netflixで「なぜ君は総理大臣になれないのか」を観た。
小川淳也衆議院議員17年の政治活動を追ったドキュメンタリー映画。官僚出身の小川氏がその志の下、地元香川県高松市から出馬。当時、民進党に所属していた同氏。ライバル候補との激戦に比例区当選も党内で辛酸を舐めての葛藤。だが2017年の衆院解散選挙で大きな決断を迫られる。この映画はその選挙戦を中心に観る者にタイトル通りの問題を問う。
小川氏の人となりは見ての通りにウソがない。それだけを見せたいのであれば、ただの宣伝映画。しかし本作は違う。政治活動のアピールはあっさり。作中のクライマックス、家族総出で戦うドブ板選挙。中堅議員でありながら地元を離れられないジレンマ。それだけ接戦という事。そして何と相手はあの平井卓也氏、現デジタル相なのである。
小川氏僅差敗北も善戦というべきところだが、政治姿勢と選挙は別物と痛感させられる。平井氏がどんな戦法を繰り出したかはその地盤を見れば良く分かる。正しい事を言っていても最後はパワーゲーム。さらに党の空中分解と小池新党が小川氏の立場を悪くしていく。仁義を通すか否か、苦悶の小川氏に対し地元の支援者の声が鋭く突き刺さる。
最も印象的だったのは小川氏のお父さんの言葉。真摯な姿勢がゲテモノだらけの政治の世界に合わないと言うのだ。観ていてもそう思う。世襲でなく、小川氏の家族は政治に執着がない。そんな時「なぜ君は総理大臣になれないのか」というタイトルは深い。それでも生活を投げ打って、政治に打ち込む姿勢は玉石混交の中にあっていい。ずっと志を秘めて。だが彼の言う活動期限、50才に差し掛かっている。
小川氏、大島新監督との会食に政治評論家田崎史郎氏が登場。正論で攻める小川氏。だが安倍シンパの田崎氏の前、掌の上で弄ばれているようだった。ここでもタイトルの重み、深いなぁと思う。
コロナ禍、自民党に対する逆風は増しているものの、彼らの独裁的な状況は変わらない。菅総理はキズの浅い機会で解散を狙っているが、それを致命的なものにするためには準備が必要。もし小川氏がそう望むのなら、タイトルを覆す覚悟を彼が世間に見せる時なのだろう。
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