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2021/08/15

「マーガレット・サッチャー 鉄の女の涙」を観る

Amazonプライムで「マーガレット・サッチャー 鉄の女の涙」を観た。2012年公開。名優メリル・ストリープ主演、鉄の女と称された英国サッチャー首相の半生を描く。ちょうど視聴中の「ザ・クラウン シーズン4」でサッチャー首相が登場、その副読本的な意味で観ることに。

食料品店で価格を気にし、牛乳を買う老婦人。家に帰り夫にその事を話す。それは年老いたサッチャー元首相の姿だった。回顧録にサインする彼女は遥か昔、父親の経営する食料品店を手伝う頃を思い出していた。

さすがメリル・ストリープの芸達者ぶり。実在のサッチャー氏は少し細身と思うが、作品中では気にならない。側近の指導の下で言葉遣いにアクセントが変わっていき、党首選に臨む。その姿はこれまで映像を通して知るサッチャーそのもの。

経済危機に上昇する失業率。だがフォークランド紛争での強硬な姿勢が転機となり、10年に及ぶ政権を担っていく。その道程を老いたサッチャーが回顧するのが本作のストーリーテリングとなる。

ただその内容に新味がない。むしろ「ザ・クラウン」を観てしまうと欠けた点も多い。戦勝パレードの流れも唐突だし、如何せん本作に王室の姿が無いに等しい。2時間弱の映画の中で割り切ったとはいえ、女王との関係が皆無なのは違和感でしかない。

加えて「ザ・クラウン」との違いは登場人物との距離感。むしろ近づき過ぎたかも。エピソードが断片的で老いたサッチャーが物語に介入する。客観性に欠けるため、伝記物として物足りなくなった。当時の報道映像も縦横比無視、シネスコサイズにブローアップしてるし。

「ザ・クラウン」のオリビア・コールマンがサッチャーの娘として登場。まさか数年後、彼女がエリザベス女王を演じるとは思わなかっただろう。ただ本作では目立った存在ではない。とにかくメリル・ストリープを観るためだけの映画といったところか。

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