「ターミネーター」を観る
午前十時の映画祭で「ターミネーター」を観てきた。1984年公開。日本ではその翌年公開されているが、まだ知る人ぞ知る存在だった。学生時代、当時の映画館で観た時の感動を味わいたくて足を運んだ。
世間的に「ターミネーター2」ばかりに注目が行くが、本作のオリジナリティーあってのもの。2は興行的に家族映画。革命的映像は素晴らしいが、本作を受けてのオマージュ、シリーズらしくパロディ作品の側面もあったりする。
あくまでこの「ターミネーター」は愛の映画だ。カイルがサラを助け出す際、「come with me if you want to live」と発した瞬間、彼のこの想いから始まったんだと思わず泣けた。子供に見せられないが、愛を育むシーンは必然。トップロールはシュワだが、本作はサラとカイルの物語なんだ。
とにかくマイケル・ビーンがいい。炎の中からエンドスケルトンが立ち上がった時の絶望感。満身創痍、秘めた想い、運命を受けて必死に守る姿。一方でサラ=リンダ・ハミルトンの作品中の成長、伝説の人となる断片を残し、物語は終わる。嵐の下、車を走らすエンディングは名シーンだ。
もちろんシュワ=ターミネーターのマシーンぶりも素晴らしい。独特の台詞回し、感情を出さずに銃をぶっ放す。UZIの片手撃ちはシュワの得意技だが、本作から始まった。シュワがカイル役を選ばなかった事、キャリアアップに繋がったのは歴史が物語る。
本作は世間的にキャメロンの作品と認知されているが、当時パートナーだったゲイル・アン・ハード、さらにスタン・ウィンストンの存在を忘れてはならない。ゲイル・アン・ハードが製作サポートをしなければ本作が世に出る事は無かっただろう。
スタン・ウィンストンはキャメロンのビジュアルを具体化し、エンドスケルトンに命を吹き込んだ。操演とストップモーションを組み合わせた工場での死闘は手に汗握る。スタンは本作と2をステップに様々な作品で才能を開かせた。映画界にとって「ターミネーター」は大きな転機となった。
公開当時、ムック本を買って本作のVFXや製作秘話を興味深く読んだ。CG全盛の今、このアナログ感溢れる映像は愛おしい。ルーカスだったらCG改悪しちゃうんだろうな。でもそれをしないところがキャメロン。「ターミネーター」は当時のスタッフ、キャストの化学反応が見事に開花した名作。35年以上経っても今も大切な一本である。
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