「ROMA/ローマ」を観る
今朝はNetflixで「ROMA/ローマ」を観た。「ゼロ・グラビティ」のアルフォンソ・キュアロン監督作品。第91回アカデミー賞で外国語作品賞、監督賞、脚本賞を受賞した。1970年のメキシコシティに住む家政婦とその家族の姿を描く。
家政婦のクレオはアデラと共に住み込みで働いていた。ソフィアは時に厳しくも優しく見守る雇い主、彼女の子供たちとの生活も楽しいものであった。アデラとダブルデートするクレオ。だが恋人フェルミンと別行動をとった。そして3か月後、彼女は体に新たな命を宿した事を知る。
物語はシンプルでクレオ自身、ソフィアの家族が並行して起きた出来事と再生が描かれていく。決して突き放した描き方をせず、クレオに寄り添う。ただ暴動に巻き込まれた後のクレオの苦しみは観ていて辛い。あんな再会、別れは辛過ぎる。
そんなフェルミンがクレオをベッドに誘うシーン。さすが独立プラットホームのNetflixらしくボカシは一切無く驚かせ、それだけに後半で現れる男の身勝手さに苛立つ。あんなインチキ武道がまかり通るのもあの時代なんだな。
モノクロ映像にセリフ、環境音のみと思い切った構成。音楽は街に流れる音、レコードやラジオ等に限られる。その点で本作鑑賞には再生環境が重要。冒頭に対しエンドロールは呼応するように飛び立つ飛行機が映る。この映画に登場する女性たちの自由を表しているようだ。
特に家族の住む住居の撮り方は独特。さらにフレームを活かした映像はキュアロン監督自身が撮影している。監督の幼少期が反映され当時感じた世界が映っているのだろう。エンターテイメント性は皆無ながら最後まで深みある映像が心に残る作品。
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