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2021/07/03

「いとみち」を観る

今日は盟友N氏と映画「いとみち」を観てきた。青森を舞台に16才のヒロインいとがメイド喫茶のバイトを経験しながら、様々な人との繋がりから彼女の成長を描く青春ストーリー。

16才のいとは大学教授の父耕一、祖母ハツヱと三人暮らし。そんな彼女は強い訛りのせいでクラスの中でもちょっとコミュ障気味。祖母譲りの津軽三味線も手付かずになっていた。ある日、スマホの操作ミスでとあるバイトを見つける。いとは青森市内の「メイド喫茶」でバイトを始めるのだが...

この作品、三味線を主とした音楽映画と思ったら肩透かしを喰らう。常に三味線を聴かせる作品ではない。三味線を奏でる過程こそが、いとの成長を反映させたもの。

冒頭から感じるのはヒロインを演じる駒井蓮の初々しさ、清々しさ。物語の進行と共に彼女の輝きが増すのは「プリティ・ウーマン」的。観客の想像通り、クライマックスはいとのソロ演奏だが音の輝き、物語の前半、後半との対比を含めて見どころ、聴きどころとなる。また祖母との合奏で二人の微妙な音の違いを感じさせ、三味線の奥深さを思わせる。

ついメイド喫茶を舞台にすると、何処か男性に媚びた描写ばかりになりそうだが、必要最小限に留めているのは横浜聡子監督の手腕。いと達三人の立場の共有のさせ方も巧い。そんな彼女たち、そして祖母や同級生の早苗らの目線から描く女性映画でもある。

舞台となる青森を自然、言葉、歴史を含めて描いていくのも魅力的。訛りが強くて判らないセリフがあっても音楽的ノリが楽しい。その中心に居るのは祖母ハツヱを演じる西川洋子の存在感、演奏も含めた名演によるもの。父親役の豊川悦司、同僚メイド役の黒川芽以、横田真悠、そして店長の中島歩も良かった。

本作は青春映画の良作。大人は親目線で、特に自分探し中の学生さんにはこの作品を観て欲しい。
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