「イージー・ライダー」を観る
今日は午前十時の映画祭で「イージー・ライダー」を観た。アメリカンニューシネマを代表する一本。1969年アメリカ公開。ピーター・フォンダが製作、主演を兼ねデニス・ホッパーが共演兼監督。そしてジャック・ニコルソンも出演する元祖ロードムービー。
薬物の売買で大金を得たワイアットとビリー。二人はバイクでロスからニューオリンズ、そしてフロリダへ向かう旅に出る。道中の出会い、自由を謳歌する二人。だが全ての人々が彼らを歓迎している訳では無かった。そして二人はある事件に出くわす。その後、謝肉祭のニューオリンズでLSDにふける二人は娼婦と共に心身とも混迷を深めるのだった。
若きピーター・フォンダとデニス・ホッパーが描く当時のアメリカ。保守的な考えが強く残る時代に自分を求めて旅を続ける。バイクと馬、まるでそれまで主流だった西部劇との対比を見せられているようだ。クスリの影響を表したようなカットの切り替わり、オープニングの空港近くのシーンでサイドミラーを使った画作りと実にテクニカル。ニューオリンズでの出来事も象徴的で混沌とした二人の精神状態を表す。
だがクスリへの逃避に因果応報。時代は彼らを許さず、悲劇が待ち受ける。二人の外見と違い、その背景に宗教観も見えてくる。だがそんな重い雰囲気は全く見せずにロックが鳴り響く。判っていてもオープニングのステッペンウルフ「ボーン・トゥ・ビー・ワイルド」は最高。それだけでなくザ・バンド、ジミー・ヘンドリックスらの曲が華を添える。
何処か大人し目のフォンダと対照的にデニス・ホッパーは作品を問わずクレージー。だがそれを大きく超えるのがジャック・ニコルソンの存在感。物語の後半がグッと締まり、二人の行く末を表すような事件が起こる。そして結末の呆気なさ。そこに漂う虚しさが時代を物語っているように思う。
かつて地上波で流れていたこの作品もコンプライアンスの世ではR15+指定。それでもロードムービーの原点たる立場は揺るがない。彼ら二人と自然が対峙するシーンに今年観た「ノマドランド」を思い出した。ビデオでは伝わらない良さ、スクリーンで観て本当に良かった。
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