「全裸監督2」を観る
今日、Netflix「全裸監督2」を観終えた。全8話はアッという間。アダルトビデオで席巻した村西とおるの半生を描く前作を受けた完結編。富と地位を得た村西はついに新たな事業に乗り出す。しかしそこには大きな落とし穴が待っていた。
前作同様、AV界に新風を吹き込み続ける村西。やがてその目は宇宙、放送衛星を使った専門局開設に辿り着く。事業家にセレブ、政治家を相手に口八丁手八丁、山田孝之演じる村西に圧倒される。ラジオで古舘さんが長州の肉体に例えていたが、ブリーフ姿は村西そのもの。テレビ出演した当時の村西を知る身には憑依以上の存在に見えてくる。
村西=黒木香の起こした革命で終わる前作。だが本作、二人に亀裂が入るのは衛星事業だけが理由ではない。黒木の求めていた方向性、感情の相違、新人女優登場、そして村西に起こる大事件。黒木香を巡る出来事は当時リアルタイムで知ってはいたが、その背景まではわからなかった。彼女の心痛を伝える森田望智の演技が素晴らしい。
彼女だけでなく女優陣の頑張り。脇を支える伊藤沙莉、AV女優奈緒子役の冨手麻妙、乃木真梨子となる恒松祐里、そして本作影のヒロインたる西内まりや。地上波とは違ったコンプライアンスを超えた豪華絢爛さ。「おかえりモネ」で森田望智、恒松祐里の二人を見た時はさすがに腰が抜けた。
もう一つの柱、川田とトシの物語。現実とは別に物語として鮮烈。後半に至る展開は痛々しく、やがて対照的な立場であった村西と再び相見える事になる。前作のシーンが挿入されたラストは懐かしくも悲しい。その時の村西のTシャツの文字がちょっと可笑しい。前作同様、玉山鉄二、満島真之介の熱演も見どころ。
圧巻は80年代後半の東京、渋谷などの徹底した描写。単に当時を再現するだけでなく、田舎者の自分でも見た事のある懐かしさに溢れている。車、ファッション、風俗、小物に至るまで、特にヨドバシの袋なんて最高。ただエスティマルシーダは登場がやや早いのでは..気付く人はほぼいないだろうけど。
現実、村西とおるは胡散臭いおっさんだなと思っていたが、歯車の狂った後半は悲しく見える。栄光と転落。ただ自業自得でもあるわけで、本作はそこを見事に描いた悲喜劇だと思う。最終話エンドロールでのボブ・ディランも沁みる。相変わらず過激な描写が多いので、家族持ちの皆さんは視聴に注意されたし。
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