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2021/07/18

「連続ドラマW 華麗なる一族」を観る

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WOWOWで放送していた山崎豊子原作「連続ドラマW 華麗なる一族」全12話を観終えた。「阪神銀行」を中核とする万俵コンツェルン。政財界に多くのパイプを作っていく総帥、万俵大介。高度経済成長期の日本を舞台に彼の大いなる野望が描かれていく。

これまでの山崎豊子原作ドラマ、映画に共通するスケールの大きさ、重厚さはこの作品でも健在。しかもWOWOWらしく時代考証、映像が素晴らしい。木村拓哉色の強かったTBS版に対し、本作は中井貴一、向井理演じる万俵親子の確執を丁寧に描き、ご存知のあの結末へ向かって進んでいく。

万俵家に高度経済成長期当時の財閥系のしがらみが映る。山崎さんは綿密な取材をされる方。政略結婚当たり前、政財界の真実を登場人物に投影しているだろう。そんな彼らの背景と関係性を見ていると、そんな中で育てられてきた前総理夫妻の傍若無人ぶりに思わず納得させられてしまう。

物語で印象的な万俵大介の冷徹、非情さ。中井貴一の好演、本心を隠すうわべだけの笑みが怖い。小が大を喰う合併の代償はやがて知る真実に大介自身が揺れる。それをも踏み台にする国が画策した銀行同士の再編は我々の目を通して今に至る。毎度ながら原作者山崎豊子の先見性に恐れ入る。

石坂浩二の永田大蔵大臣の見かけによらぬ腹黒さ、六角精児の大同銀行副頭取の狸っぷりも見どころだが、やはり内田有紀の悪女が印象的。対照的な正室麻生祐未との女の戦い。そして大介以外の万俵家にとって閨閥作りとの戦い。

印象的だったのは、合併抗争に敗れた三雲が万俵大介へ放つ言葉。最終回のこのセリフを全ての政治家に捧ぐ。特に嘘だらけの前総理に...
「孟子の教えにこんなものがあります。天下を得るには一つの不義もなさず、一人の罪無き者も殺してはならぬ」

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