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2021/05/04

マ・ドンソク主演「悪人伝」を観る

WOWOWで録ってあったマ・ドンソク主演のサスペンススリラー「悪人伝」を観た。連休最後に兄貴の映画を注入。本国No.1ヒットに異論なし。兄貴の映画らしく徹底して男臭く、しかも怖い。物語は想像を超えて怒涛の展開で魅せていく。

2005年韓国。連続猟奇殺人事件が続く中、犯人を追うチョン刑事。だがチョンはヤクザのボス、ドンスの経営するカジノでひと騒動起こすような男だった。そんなある夜、ドンスはナイフで刺される大怪我に見舞われる。ドンスは連続殺人犯に襲われたのだ。組織を使い、犯人を捜すドンス。ドンスを見舞ったチョンは彼の車にある殺人犯の痕跡に気づく。

物語もさることながら、ドンスとチョンの関係性が面白い。それぞれに違う立場。どちらが悪で正義か。だがそんな彼らの価値観を超える殺人犯が彼らを一つにする。三者三様、追い詰める者に逃げるどころか、本能いや信念に走る者。原題は「The Gangster, the Cop, the Devil」。三人のキャラが立ち、対等な立場と駆け引きで物語が進む点もいい。

特に物語としての面白さは中盤以降にある。一堂に会し、犯人を追い込んでいく描写のテンポの良さ。テレビのニュースを見てからのテンポの切り返し。傘を見たドンス=マ・ドンソクの表情に様々な思い、執念を感じる。全編を通し彼の持ち味、絶対的な存在感が際立つ。

チョン刑事を演じるキム・ムヨルも負けていない。完全なる正義ではない男。だからこそ対局の男と手を組む事を選ぶ。チョンの執念は終盤ドンスの決意を促していく。エンドロール前、それにしてもドンスの表情が不気味だ。

シリアルキラーを演じるのはキム・ソンギュ。「犯罪都市」でも兄貴と共演していたが、別のベクトルでみせてくれる。どこか「セブン」のジョン・ドゥを思わせる理不尽さ。殺しても死なないところはマ・ドンソク兄貴の相手に申し分ない。

W座で小山薫堂さんが「韓国映画の勢い」をコメントしていたが、確かにそれを表すような作品だと思う。ただ何より、兄貴の映画は面白いものが多いよね。スタローン製作でハリウッドリメイクも決定。間違いなくオススメ。

210504

 

 

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