「世界で一番しあわせな食堂」を観る
今夜は「世界で一番しあわせな食堂」を観てきた。昔観た「過去のない男」のアキ・カウリスマキは本作、ミカ・カウリスマキ監督の兄。何処となく御伽噺的なところは兄弟の持ち味か。そしてフィンランドの土地柄がその意を強くする。本作は中国人親子とフィンランド女性の出会いを描く。
田舎町で食堂を開くシルカ。店は地元の客に愛されるも味はイマイチ。そんな店に中国人のチェン親子が人探しに訪れるも有力な情報は得られなかった。そんな親子へ宿代わりに部屋を提供するシルカ。人探しを続けるチェンの前、店に中国人観光客のバスがやって来た。困ったシルカにチェンは手を差し伸べる。彼は中華料理人だったのだ。
ベタな邦題だが、原題は「MESTARI CHENG」=マスター・チェンと主人公を表す。冒頭、ジャンク感を醸すマッシュポテトとソーセージソースと対照的にチェンの作る料理は見た目と味で客の舌と体、そして観ている我々を魅了。差別的な口調で辛口な老人たちも盃を交わす程になるエピソードが可笑しい。美味しい料理は言葉と文化の壁を容易く壊す。
一方でフィンランドの土地がチェン親子を癒していく。彼らの素性が明らかになっていく過程、周りの人々が潤滑剤となって親子を盛り立てる。人生の再生もこの映画のテーマ。シルカの「社交辞令は不要、本音で話す」というセリフに共感。同じく料理に魅了されたシルカ。そして二人は親密になっていく。
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