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2021/02/17

「ヤクザと家族 The Family」を観る

今日は綾野剛主演「ヤクザと家族 The Family」を観てきた。監督・脚本はあの「新聞記者」の藤井道人。リアリティを感じる作りは彼ならでは。本作は綾野演じるヤクザ、賢治を巡る21年の物語。

1991年、覚醒剤が原因の父を亡くした賢治。荒んだ生活に自暴自棄となっていた。そんなある日、敵対組織に命を狙われる博を賢治が助ける。博に気に入られた賢治はヤクザの世界に足を踏み入れていく。そして7年、若手幹部となっていた賢治にある出来事が襲う。

冒頭、金髪姿を見て思わず「新宿スワン?」と勘違いしてしまうが、21年間の変遷を綾野は見事に演じ分けている。血の気が多い若者、落ち着き払う幹部時代、そして様々な出来事にケジメをつけていく現在。平成、令和とヤクザの世界における変化。そこに翻弄される賢治。一つの節目、表情に安堵を感じたのはその演技の賜物。

綾野だけでなく舘ひろし、市原隼人、北村有起哉と生きる時代を演じ分け、立場の変わる様を感じる。一見温厚な組長が敵対相手に恫喝する姿は圧巻。さらに病に冒された晩年は対照的に弱々しい。振り返ってみれば主要キャストは皆、時に警官を今回はヤクザを演じているが、警官とヤクザとは実に紙一重な存在なのかもしれない。その点でMVPは岩松了だったりして。

21年の物語、もう一つの軸となるのは尾野真千子演じる由香とのエピソード。世間に淘汰され、今を生き残れなくなったヤクザの生き様。翻弄されるのは賢治本人だけではない。追い詰められていく姿は形はどうあれ、SNS時代を象徴する。再会した由香たち、賢治の姿に憧れる翼らに対し、時代遅れの主人公は彼なりにケジメを付けたかったのだと思う。

実は本作のロケ地は知った場所が多く出ている。それだけで嬉し恥ずかしなのだが、映画となると別世界。これぞスクリーンマジックなのだな。現代を映す悲哀に満ちたヤクザの世界。どっぷり浸かった136分でした。

210217

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