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2021/02/20

「すばらしき世界」を観る

今日は西川美和監督最新作「すばらしき世界」を観た。殺人刑に服した男が出所。実社会に戻るもその中で苦悩する主人公を役所広司が演じる。

三上は13年の刑を終えて出所、身元引受人やケースワーカーの下で生活を模索していた。だが世間の目は容赦無く、しかもなかなか職につく事はできない。その一方、三上は出所前に生き別れの母を探すテレビ番組に投書していたのだった。そして三上はテレビマンの津乃田と接触する。

時同じく今週観た
「ヤクザと家族 The Family」と同じ刑期を終えたヤクザの姿を描く一作。佐木隆三の実話ベースの原作を西川監督が映画化した。前者が男性目線で正攻法に撮った作品だとしたら、本作は女性監督らしいハッとさせる部分も少なくない。どちらが優れているかでは無く、その対比が面白かった。

例えば「ヤクザと家族 ...」、主人公は欠けた父性を組長に求めていたが、本作は母を探すエピソードも一つの柱になっている。それまで猫を被ってまでも生きようとする三上が、原点たる孤児院で泣き伏す姿は沸き立つ感情を表していた。一方で元妻を探す姿も描かれるが、家族への重きは「ヤクザと家族 ...」程でない。その点西川監督の方がクールなのかもしれない。

むしろ世間との共存、接点の無かった人々とのやり取りが興味深い。津乃田もさることながら、スーパー店長の松本と意気投合していく過程が可笑しかった。接点を作っていく彼らを介し、三上は職を得て独り立ちしていく。だがその職場で目にする差別と葛藤。塀の中も外も大きな変わりはないと思う。「すばらしき世界」というタイトルは意味深だ。

役所広司と役柄のギャップも始まってすぐに消え、シリアスと凄み、時に見せる笑える演技に魅了された。特に免許センターの件は笑いが止まらなかった。なお「ヤクザと家族 ...」で幹部だった北村有起哉が本作でケースワーカー役。個人的にその変貌ぶりも見どころとなった。

主人公が大きく広がる夜空を満喫しながら進む顛末。原作通りなのか、西川監督のストーリーテリングにやさしさと現実が交錯する。エンディング、空を見上げる津乃田たちに感情移入しつつ、世の中まだまだ捨てたもんじゃないと思いたい。

210220

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