「トータル・リコール 4Kデジタルリマスター」を観る
今夜は映画館で「トータル・リコール 」を観てきた。P.K.ディックの短編集「模造記憶」の一編が原作(既読)。1990年公開で30年ぶり、今回4Kデジタルリマスター版によるお披露目。90年当時東上し、有楽町マリオンの日劇巨大スクリーンで観た事を思い出す。
「トータル・リコール 」は劇場だけでなくテレビ放送、レーザーディスクにDVD、ブルーレイとメディアが変わるたびに観てきたが、全編通して観たのは久しぶり。でも普段からヘビロなサントラのせいか、そんな気はしない。
ダグは火星に降り立つ夢を観続けていた、そんな彼はリコール社が行なう人の記憶に創作する火星旅行を思い立つ。だがダグの記憶には隠されたものがあった。間も無く同僚に襲われるも一瞬で倒すダグ。妻の危険を察知し家へ戻るのだが....
劇場で再見した「コマンドー」の時も思ったが、やはりシュワは大スクリーンでこそ"映える"。テレビサイズでは伝わらないもの。例えば冒頭の土木作業シーン。ブレーカーを操るシュワのブルブルと躍動する上腕部。製作当時、40代のシュワはキャリアもフィジカル面も絶頂期。観ているだけで惚れ惚れする。
そして個性溢れるビジュアルがその世界に導く。発信器、マスク、ミュータントたち。ロブ・ボッティンの特殊メイクが素晴らしい。加えて監督冒頭のインタビューで今回のリマスターは3D並と言及していたが、確かにミニチュアの奥行き感はスクリーンサイズで無いと実感できないだろう。
個人的に「トータル・リコール 」で素晴らしいと思うのは音楽。ジェリー・ゴールドスミスの生んだスコア群。冒頭の「The Dream」も然り。そして「Clever Girl」。リクターたちが地下鉄駅でダグを追い詰めるスピードと緊張感。監督の血まみれ、非情な演出と相まって効果的。このシーンだけでもホームシアターで何度観ただろうか。
ただ今回再見するとセリフに対してスコアの音圧が低く、テレビ向きの音作りと感じた。せっかくのスコアが損している。今後できる事ならオケの音圧レベルを2割増しでリマスターして欲しい。
ラスボスのロニー・コックスもいいし、追い詰める「カナダのジャック・ニコルソン」ことマイケル・アイアンサイドの存在感も際立つ。だが冒頭からシャロン・ストーンの美しさに惹かれる。レオタードでダグを蹴り上げるアクションの素晴らしさ(やたら股間を蹴り上げていたけど)。レイチェル・ティコティンに悪いが、シャロンありきで本作を観てしまう。
90年の公開当時に無かった年齢制限でR15+。本当は子供を連れて観たかったけど断念。先の非情な演出の根幹、ポール・バーホーベン幼少期の記憶が基となっている。死体が転がる世界も現実。そこに対峙してこそ得られるものもある。
果たして本作が描くのは冒険譚か、夢なのか。エンディング、監督がDVDのコメンタリーで言及した事を思い出しつつ、最後のメリーナのひと言に納得。
「夢が醒める前にキスして」...ホワイト・アウト、なるほどね。
| 固定リンク
コメント