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2020/11/11

「麻雀放浪記2020」を観る

WOWOWで録ってあった「麻雀放浪記2020」を観た。2019年公開。斎藤工主演、白石和彌監督作品。名作「麻雀放浪記」を原案にシリアスさは皆無の全く毛色の違う作品となった。

1945年日本。戦後、賭け麻雀で生きていた坊や哲。気を失った哲はとある街、路上で目覚める。街には五輪開催を訴えるポスター。5年前の五輪開催中止を思い出した哲だが、何やら様子が違う。哲は2020年の世界に目覚めたのだ。社会の違いに戸惑う哲はやがて昭和の雀士として注目を浴びていく。

阿佐田哲也の原作キャラを活かしつつ、現代に転生。現代といってもパラレルワールドの東京。しかも腑抜けた日本は再び戦後を迎えていた。麻雀を扱うがほぼSF。最後はAIアンドロイドと麻雀で戦う哲。警官はスカウターを装備、マイナンバーIDで相手を知る。そんな管理社会を皮肉る描写も多い。

そしてこの作品最大の爪痕、功績は東京五輪2020が開催されなかった世界である事。設定上(ちょっと「AKIRA」っぽいが)、直前の戦争が原因とされるがその内容は触れず、ウィルス戦争であってもおかしくない。ある意味今を予言した設定でこの映画は見直されてもいい。

評価が分かれるのはコメディー描写。面白いかと言われれば微妙な感じもある。そこで思い出したのが「僕の彼女はサイボーグ」。SFという共通点に加え同じ雰囲気を持つ何処か憎めない作品だった。本作も徹底して否定するより、部分部分に愛おしさを感じる。

例えばヒロインのドテ子。シマウマでしか愛し通せない性癖、主人公に一途となっていく過程が可愛い。本作で彼女の存在感が一番残る。ベッキーなんかそのまんまアンドロイドだもの。人間の裏をかく戦法で哲たちの麻雀を攻略していく。

白石和彌監督作品としては観る人を選ぶ。ただこれまでの監督の作品を知っていると、こういう力を抜いた作品も作りたいのかなとも思う。小ネタを楽しみつつ。気楽に観て欲しい。

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