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2020/09/08

「一度も撃ってません」を観る

今日は仕事帰りに阪本順治監督作品「一度も撃ってません」を観てきた。石橋蓮司を主演に迎え、桃井かおり、岸部一徳、大楠道代らが競演するハードボイルド。

表向きは売れないハードボイルド小説家市川進。昼間は妻に頭が上がらない男だが、正体は伝説の殺し屋。依頼を受けて夜の街に消えていく。しかし彼には大きな秘密があった。友人石田の命が狙われる事を知った市川は秘密を顧みず銃を手に立ち上がる。

コメディとして見ると肩透かしを喰らう。笑いよりニヤリ。タイトル含め、コメディ色が強い劇場予告編はミスリードを狙った作り。純度99%は大袈裟だが、間違いなく純度90%以上のハードボイルド。主人公の二面性。夜を基調にダンディな装いに対し、背中を丸めしじみ汁をすする姿が可笑しい。

映画らしい空間と画作りが心地いい。物語、演出共にゆったりと大人向きの作り。脚本丸山昇一の狙いはコメディでなく、ユーモアあるハードボイルド。当て書きしたような石橋蓮司の佇まいも合っている。また徹底してハードボイルドよりもギャップあって裏の姿が活きる。

男くさい映画の多い坂本監督だが、「半世界」同様に抑えた感じがいい。何しろベテラン陣、個性の強いキャスティングで役者に任せた感じもある。実力派の若手二人(妻夫木聡、井上真央)も彼らの個性に敵わない。

終盤、ひかる(桃井かおり)、石田(岸部一徳)との関係性も明らかになり、ラストシーンに繋がっていく。真の恐怖と対峙した後。タクシーに乗らず、一人街を歩く姿が主人公の人生を物語る。この男、死ぬまで"午前0時"に生きるのだろうな、と。

200908

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