「カセットテープ・ダイアリーズ」を観る
今夜は仕事帰りに「カセットテープ・ダイアリーズ」を観てきた。この物語は実話。80年代イギリスを舞台にブルース・スプリングスティーンの音楽と出会い、自ら奮闘する青春音楽映画。原題「BLINDED BY THE LIGHT」とボスの楽曲名と本作テーマのダブルミーニング。邦題はちょっとベタかなぁ。
カレッジに通うパキスタン移民の子ジャベド。宗教、貧しさ、異文化。家族の中で閉塞した生活。趣味で作った詩が女性教師から酷評されてしまう。そんな時、移民出身のヌールから渡された2本のカセットテープ。それこそブルース・スプリングスティーンのテープだった。ボスの詩に触発されたジェベドの生活は少しずつ変わっていく。
この作品は時代背景、風俗が興味深い。日本がバブル期に差し掛かる頃、イギリスはサッチャー政権下で経済が疲弊していた。そんな時、手にはウォークマン。音楽を持ち歩く喜び。レコードにブリティッシュポップで物語は始まる。タイトルアレンジにBASFなんて出ると嬉しくなる。
上っ面だったジャベドの詩の世界を広げたのがブルース・スプリングスティーン。日本人にとって洋楽はファッションみたいなもので歌詞は二の次(だと思う)。本作はそんな我々でも字幕を効果的に使って訴え掛ける。30年を経て改めてスプリングスティーンの詩の世界を噛みしめた。
ボスの楽曲の中でも「明日なき暴走」は別格だ。彼のライブアルバムからシングルカットされたPVが最高。盟友クラレンス・クレモンズのサックスが輝き響く。満員の巨大スタジアムをバックに歌うボス。昔、MTVで何度も何度も観たもの。本作でもこの曲が効果的に使われている。
ジャベド親子を取り巻く環境の中、様々な障害。確執の中、やがて二人の初心は同じだったと気づく。子の親となり、涙腺はこの手の展開で緩くなる。ジェベドの彼女はもちろん、親友ヌールや幼なじみのマット親子、隣人の叔父さんもいい味を出していた。80年代、人の関係性が良い意味で密だったと思う。
昨日に続いてこの作品はある意味「30年ものが愛される理由」なのだな。ジャベドにとってボスなら、自分にはビリー・ジョエルやスティング、プリンスだと思う。歌詞の世界、音楽、触発されるものに至るまで80年代洋楽は刺激的だった。見事に自ら人生を切り開いたジャベドが羨ましい。好きなものはとにかく続ける事だと思う。
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