« 「機動警察パトレイバー the Movie[4DX版]」を観る | トップページ | 漫画版「AKIRA」を読む »

2020/07/25

WOWOWで「新聞記者」を観る

しがらみのない有料放送、WOWOWで録ってあった「新聞記者」を観た。今年の日本アカデミー賞作品賞受賞。受賞に圧力、しがらみ、忖度があったかは不明。ただ一見の価値あり。

大学新設の極秘情報、匿名FAXを入手した東都新聞。記者の吉岡エリカは社の抵抗にめげず、調査を始める。一方、内閣調査室の杉原は上司だった神崎と再会。二人は5年前の出来事に今も葛藤していた。そんな中、仕事中の杉原に再び神崎から電話が届く。

フィクションとノンフィクションの狭間。モリカケ問題とラップする部分もあるが、実背景は映画のような決定的理由(生物兵器開発隠蔽)は無い。むしろお友達利権のみとお粗末。しかも起訴されず終い。

冒頭、多数机を並べ奮闘する内調の面々。国民がネット、SNSに依存するおかげで印象操作し易い世の中。メディアもお友達化してやりたい放題。そもそも政権に対する違和感は映画以前、ずっと感じていた。

確かに映画の中の描写が現実か否かという点はある。製作はイオン系、原案は東京新聞記者となれば映画の立ち位置は知れる。でもこの映画のテーマ「誰よりも自分を信じ疑え」のスタンスであれば、自ずとフィルターは薄れてくる。誰かがやりたい放題ならその歪みは何処かに行き着く。劇中では神崎の立場、現実に命は奪われた。

映画としてはエンタメ性を排除。シム・ウンギョンが慣れない日本語で熱演。本作を放送した「W座からの招待状」で言及していたが、日本人女優には勇気を問われるキャスティング。しがらみない彼女が演じる事になったという。セリフ回しは違和感ない上、むしろ演技臭なく良かった。

一方、松坂桃李にとっても挑戦的な役。違和感と後悔に心を動かされつつ、その表情から観客に委ねるラストシーン。また神崎夫妻を演じる高橋和也、西田尚美にも現実に相通じる痛みを感じた。本田翼の存在はそんな中の清涼剤か。

悪役(?)は田中哲司演じる多田、ほぼ一人。誰も出てこない。だがその背後に見えるもの。映画というフィクションの形を借り、本作の伝えたい事の一つ。本作公開から一年経ち、コロナ禍、五輪延期、緊急事態宣言、コロナ第二波を経験する今、できる事を考えたい。

200725

|

« 「機動警察パトレイバー the Movie[4DX版]」を観る | トップページ | 漫画版「AKIRA」を読む »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




« 「機動警察パトレイバー the Movie[4DX版]」を観る | トップページ | 漫画版「AKIRA」を読む »