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2019/04/04

シリーズ 平成を振り返る(その3:平成映画ベスト10とか)

190404  
新年号が令和と決まり、平成は残す所一ヶ月あまりとなった。「シリーズ 平成を振り返る」その3では平成に公開された映画ベスト10を挙げつつ、回顧してみたい。

平成の映画公開作(西暦1989年1月から2019年4月による)といっても、その数知れず。約30年分調べていくのも面倒。そこで好きな映画を10作挙げてから公開年を調べ、それが平成だったら残していく方法を採った。指標は何度観たか、ソフトを買ったとか、印象度等など。10年前、所帯を持つ前は実家のホームシアターで浴びるように映画を観ていた。でも今は劇場鑑賞が主。そうした環境の変化の影響、加えて漏れがあるかもしれないけどもね。

平成映画ベスト10(カッコ内は平成数えの日本公開年)
1.「ターミネーター2」(平成3年)
2.「インディ・ジョーンズ/最後の聖戦」(平成元年)
3.「トータル・リコール」(平成2年)
4.「羊たちの沈黙」(平成3年)
5.セブン」(平成8年)
6.「パルプ・フィクション(平成6年)
7.「キッズ・リターン」(平成8年)
8.「セッション」(平成27年)
9.「アベンジャーズ」(平成24年)
10.「007 トゥモロー・ネバー・ダイ」(平成10年)

1.「ターミネーター2」(平成3年)
平成最初、映像革命の一作。実際は同じキャメロン監督作「アビス」あっての作品だが、とにかく映像と音楽にストーリー、そしてアクションの融合、バランスが素晴らしい。しかも前作の優れたパロディー作となっている。今観ても全く色褪せる事なし。それぞれのアクションシークエンスを何度観た事か。LD、DVDにリマスターと所有、だが金欠の今ではさすがにblu-rayを持っていない。

2.「インディ・ジョーンズ/最後の聖戦」(平成元年)
最近のスピルバーグにはガッカリさせられるが、この頃は最も脂ののった頃。シリーズの頂点はもちろん「レイダース」でも昭和映画。だが「最後の聖戦」も負けず劣らず。しかもユーモアに加え、親子愛に満ちている。007を撮りたかったスピルバーグがショーン・コネリーを本作に迎えた。アジトに飛行船脱出、クライマックスの戦車での攻防と何処を切っても見どころ。ジョン・ウイリアムズとの音楽のシンクロ度が凄い。

3.「トータル・リコール」(平成2年)
今やメジャーとなったP.K.ディック作品の先駆け。一見筋肉バカな作品だが、漂うインテリジェンスはディック原作、そしてシュワ主演だから。レトロフューチャーな世界観がロケ地ブラジルとよく似合う。圧巻は偽妻、そして追っ手からの逃亡。御大ジェリー・ゴールドスミスのスコア「Clever Girl」が重なり、エスカレーターで地獄絵図が展開される。昔は「日曜洋画劇場」で観られたが、今は難しいかな。このシーンでご飯10杯はいける。

4.
「羊たちの沈黙」(平成3年)
平成猟奇サスペンスの最高峰でアカデミー賞作品賞を受賞。今や悪役五指に入るキャラクター、レクター博士を生み出した。プロファイリングと心理的攻防、顔芸に陥らない演技のぶつかり合い。美しいクラリス、一見高宗だが凶暴なレクターの檻を介したやり取りに惹き込まれる。レクター脱出前、指の愛撫はジョナサン・デミ演出の真骨頂。クラシックなオケ、ハワード・ショアのスコアが時に残酷、だがとても美しい。

5.
セブン」(平成8年)
平成猟奇サスペンス、もう一つの最高峰。デヴィッド・フィンチャー監督2作目にして最高傑作。アンドリュー・ケヴィン・ウォーカー脚本、キリストの七つの大罪をモチーフに連続猟奇殺人、七日間の攻防を描く。その末路に唖然とさせられつつも魅了された。エンドロール、デビッド・ボウイ「The Hearts Filthy Lesson」が堪らない。そしてもう一つ、バッハの「Air」の使いどころがツボ。これ程に美しさと残酷性が同居した作品を知らない。

6.「パルプ・フィクション(平成6年)
世界に平成の世が通じるならタランティーノこそ申し子。カンヌ映画祭パルムドール受賞。タイトルを地でいったストーリーに構成の妙で魅せる。彼の好きなキャスティング、好きな音楽に世界観、セリフは冒頭からテンポよくタランティーノ節に溢れる。意味があるようでないようで、その際たるマック、チーズロワイアルのくだりは大いに笑わせる。粋なラストシーンに流れる「Surf Rider」がカッコいい。

7.「キッズ・リターン」(
平成8年)
平成は北野映画の年でもある。そんな中でも「キッズ・リターン」を選びたい。青春ものだが北野作品らしいバイオレンス。でも特筆はたけし自身が出演していない事。あの事故の直後だからかもしれないがそれがいい。たけしが演じそうな役となるモロ師岡。本作以後、大ブレイクした。久石譲の無機質も温かみを感じるスコアにボクシングのパンチ音が心地いい。これも見どころ。絶望とも希望とも取れるラストカットが秀逸だ。

8.「セッション」(平成27年)
ここ数年、屈指の傑作。ビデオで見たら単なるパワハラだが、天才デミアン・チャゼルの作品は劇場鑑賞こそ真骨頂。これ程圧倒された作品はない。がっぷり四つ、ニーマンとフレッチャーの攻防。本作でオスカー受賞、J.K.シモンズの演技が凄い。もちろん本作の命は音楽。タイトル曲でもある「Whiplash」にラスト10分を虜にする「Caravan」のステージ。何度観直した事か。そしてこのサントラ何度聴いた事か。

9.「アベンジャーズ」(平成24年)
今年10周年を迎えたMCU、そのフェーズ1の集大成として公開された。今や映画興行的にMCUの存在は無視できないだろう。一見かつての東映まんがまつり内のコラボ作みたいだが、大人も楽しめる懐の広さはマーベルらしい。単独作で描かれた伏線が大舞台で繰り出される。キャップ、アイアンマンの2トップにその集大成らしくタレントも豊富。中でもソーの弟ロキが出色。最新作「エンドゲーム」が今から楽しみ。

10.「007 トゥモロー・ネバー・ダイ」(平成10年)
物語はお決まりで悪者と世界の危機と二流だが、平成公開のクラシック・ボンドの中で一番。ガジェット、アクション、そして音楽。ジョン・バリー節の後継者としてデヴィッド・アーノルドが就任、とにかく効かせる、いや聴かせる。オープニングの「White Knight」、無線操作するボンドカーでのアクション「Backseat driver」は映像とのシンクロ度が高く見どころで気持ちいい。彼にはボンド最新作で是非復帰して欲しい。

今回のセレクションで重要だったのが、サントラ。実は「アベンジャーズ」以外は全て買って持っている。好きな映画にサントラでの追体験は欠かせない。そう考えると「AKIRA」なんかもそうだが、でもあれは昭和最後の公開だったりする。結局、時代や年号を超える作品こそが名作。これからもこれらに負けない名作に出会えますように。

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