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2019/04/12

「バイス」を観る

今日はクリスチャン・ベール主演の「バイス」を観てきた。今年のアカデミー主演男優賞にノミネートされたが惜しくも逃した。しかしディック・チェイニーを特殊メイクとデニーロアプローチで体重増して見事に演じ切った本作。タイトル通りなかなか毒の入った伝記、(出来るだけ事実に近づけた)創作フィクションとなっている。

2001年9月11日、同時多発テロに見舞われたアメリカ。だが事態を指揮するは副大統領のチェイニー。一元的執政府論の解釈の下、現政権を作り上げてきた。テロを発端に政治主導で主犯格に近づいていく。しかしそれこそ影の大統領、チェイニーの独善たる政治手腕が作り上げたものだった。

この映画、情報量が凄まじく、近代アメリカ政治を知っていれば、多くの登場人物たちと共により楽しめる。「俺たち」シリーズを手掛けたアダム・マッケイ監督。伝記ではあるが、ある意味コメディーとして演出。そして事の顛末はご存知の部分もあるだろうが、その代償は子ブッシュ共々アメリカの闇となっている。

子ブッシュ政権下のチェイニー副大統領を知る上で妻リン、そしてラムズフェルドの存在は欠かせない。アル中のダメ男が妻から得た自信、ラムズフェルドの手腕から学び、世界No.1国家の中心で成り上がっていく。リン役のエイミー・アダムスは貫禄の演技。またスティーヴ・カレル演じるラムズフェルドが激似。嫌なヤツぶりまで似て感心させられる。

そして
子ブッシュの馬鹿っぷり。当時からブッシュ本人は色々と揶揄されたが、演じるサム・ロックウェルのなりきりっぷりもいい。それだけでなくパウエル、ライスとブッシュ政権の面々が再現映像と共に登場。9.11後の緊迫した事態に直面していく。

狂言回し、ストーリーテラーの顛末に唖然。クセある面々に感情移入しなくとも、とにかく本作には惹きつける力がある。2時間13分の長編だが、最後まで見入ってしまった。ただ明らかに共和党嫌いなハリウッドらしい作品で観る人を選ぶかもしれない。でもこの作品を観て知ったかぶるのもアリだろう。

190412

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