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2019/03/23

「ブラック・クランズマン」を観る

今日は盟友N氏とスパイク・リー監督作品「ブラック・クランズマン」を観て来た。スパイク・リーといえば黒人をテーマに力強い作品の一方、「インサイド・マン」のような力を抜いた作品もある。今回はその中間を狙ったような作風で70年代を舞台にした実話で今年のアカデミー脚色賞を受賞。

コロラド州、コロラドスプリングズ。ロン・ストールワースは警察官募集に合格、調査係を勤めていた。だが時は公民権運動後、まだ黒人差別の跡が残るアメリカ。街中では弾圧解放を叫ぶ黒人運動家も多くいた。そこで過激な運動を防止するため、ロンは潜入捜査員を指名される。一方、白人至上主義を謳うKKKの活動も激しさを増した。そこでロンはKKKへの接触を試みる。

黒人警官が白人至上主義組織と戦う姿が描かれる本作。70年代をビジュアル、風俗、音楽で再現し、その頃のアクション映画やテレビドラマを思い起こさせて懐かしい。相手を喰うような言動のロンがKKKに立ち向かう。ジョン・デヴィッド・ワシントンは父デンゼルと異なり、中々の口八丁手八丁ぶりが可笑しい。

ロンの相棒フリップを演じるはアダム・ドライバー。カイロ・レンでマイナスイメージの彼もSW以外の作品こそ真骨頂。フリップは危険な表舞台に立ってロンをサポート。そんなロンとフリップはKKK幹部を煙に巻き、コロラドスプリングズ支部の仕掛ける事件に立ち向かう。そのやり取りも時にシリアス、時に笑わせてくれた。

ただ本作が黒人VS白人を訴える作品でない事に注目したい。様々な人種が絡み合う国である事、黒人団体にKKK共に警察を同じスラングで呼ぶ事、そしてラストにおける現実等、その中で考えさせられる点は多い。軽妙に進んでいた物語もラスト数分はスパイク・リー節に溢れる。今年のアカデミー賞授賞式での彼の言動にも直結するだろう。

ラストシーンの余韻と共にエンドロールに流れるは、殿下ことプリンスの未発表曲「Mary Don’t You Weep」。彼の活動をみれば意味深いであろう、歌詞の和訳字幕は入れて欲しかった。

軽妙でテンポよく見せるが、実はテーマは硬派。アメリカの歴史の一端、現代に繋がるテーマとして本作を観て欲しい。

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