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2019/03/02

「グリーンブック」を観る

今夜は久々に盟友N氏と映画鑑賞。今年の米アカデミー最優秀作品賞の「グリーンブック」を観てきた。かつてはコメディー映画でおなじみ、ファレリー兄弟の兄ピーターが監督。「ロード・オブ・ザ・リング」のヴィゴ・モーテンセン主演、マハーシャラ・アリはアカデミー助演男優賞を受賞。オスカー女優オクタヴィア・スペンサーが製作総指揮に名を連ねる。

1962年アメリカ、ニューヨーク。トニーは口達者と腕っ節からバーの用心棒をしていた。あるボスから仕事を誘われ、ピアノ奏者のシャーリーの運転手兼マネージャーを引き受ける。黒人差別の厳しい時代。シャーリーはある目的を持って南部へ向かうツアーに出るのだった。

60年代、時代を映す音楽、噛み合わない二人によるロードムービー。当時のエピソードに隔世の感はあるが、この映画で描こうとするテーマは不変。序盤はありがちな対立も、同じ車で過ごすうちに打ち解け、互いの立場を理解していく姿が描かれる。ファレリー兄弟らしい毒は無いが、それ以上に直面する現実の方が厳しい。

その点、単なる黒人差別を描くのではない。シャーリー自身が劇中で述べている通り、彼、演奏する音楽は黒人の中のマイノリティーであり、またトニーもイタリア移民で米国内ではマイノリティー。トニーの口達者ぶりは生き残る術。反して筆下手ながら妻ドロレスへの手紙の顛末が可笑しく、ラストシーンは思わずニヤっとさせられる。

オスカーは逃したものの、ヴィゴ・モーテンセンあってのトニーであり、彼の心中の変化も含めて演技に惹き込まれる。一方、今や旬なマハーシャラ・アリのシャーリーもトニーの弾け具合に触発され、自らの目的を達成していく。

この映画の見どころは時代の再現。車窓やロケーションに音楽が心地良く、この旅を演出。特に物語の中盤に掛けてジワジワと良さが出てくる。さすがは最優秀作品賞と思う良作だ。

190302

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