「レディ・バード」を観る
今日は今年のオスカー作品賞候補にもなった「レディ・バード」を観てきた。監督の自伝的な作品で2002年が舞台。サクラメントに住む自称レディ・バードことクリスティンが、高校最後の一年を進学、恋愛、そして家族との間で成長していく姿が描かれる。
女子高生というと、邦画ではどれもよく似た恋愛映画。もちろん本作はそういう事はない。しかも相手となる男子も今を反映させた作り。それだけでなく多感で繊細な時期の描写が巧い。深過ぎず、浅過ぎず、レディ・バードは様々な出来事を通して親の元を巣立っていく。
観る側が同世代と親世代でその目線は違うだろう。クリスティンを演じるシアーシャ・ローナンの自然な可愛さ、エピソードに惹き込まれながらも、いつの間にか父親、母親側の気持ちになっていた。すれ違い、気持ちが届かないようでお互いわかっている、それが親子。レディ・バードからクリスティンへ。その変化がエンディングに帰結する。
あっさりした作りながら、それぞれのキャラが立った群像劇でもある。親友ジュリーのちょっとした出来事も伏線となり、何があったか想像させる。高校の神父やシスター、斎藤工似の兄貴やその彼女、無職の父親にしろ、小さなドラマが垣間見える。そんな作りがいい。
あと一つ、洋画のオーディションシーンって何で面白いのだろう。本作でも鉄板です。
本作が描く高校時代という無垢さと危うさ、そして儚さ。観た後に気持ちがいい、そんな良作です。
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