「シェイプ・オブ・ウォーター」を観る
3月1日は映画の日。今夜はギレルモ・デル・トロ監督作品「シェイプ・オブ・ウォーター」を観てきた。
60年代のアメリカ。幼い頃声帯を傷つけられ声を失ったイライザ。彼女は研究施設で清掃業に従事していた。そんな中、研究のために捕らえられた魚人と遭遇する。そしてイライザと魚人の秘めた交流が始まったのだった。
この作品はマイノリティー同士の関わりを描いたファンタジー。イライザはもちろん、仲のいい隣人のジャイルズといい、一見普通の生活をしている同僚のゼルダでさえそんな立場といえる。むしろ社会的立場のあるストリックランドが最も凶気。そんな中、イライザは魚人に対し心身共に解き放つ。
「パンズ・ラビリンス」程のゴシックの濃さは無いが、60年代の時代背景と美術設定は見どころ。印象的なビジュアル。他作と同様のデル・トロ監督のクリーチャーへの拘り、イライザと魚人の交流、特にタイトルの通りの水を使った表現が美しい。
日本版はレートを下げるためか編集が施されている。オリジナルから編集があったとされる点は、たぶんイライザの日常におけるあるシーンの事だろう。カットが短く観ていて説明不足と感じていた。
推測するに彼女はマイノリティーであるが、性的な嗜好はそうではない、皆同じと言いたかったのではないか。そうでないと魚人との交流、その後の描写に唐突さを感じてしまう。また対照的な存在、ストリックランドのシーンも同じ。これでは中途半端感でいっぱいだ。監督の伝えたかった完全版での表現が気になる。
しかしながらこの異形のファンタジーの持ち味は捨て難い。またオスカー候補とはいえ、観る人を選ぶ。「パンズ・ラビリンス」でデル・トロの感性に惹かれた人なら、興味深い一編となるだろう。
追伸.本作の字幕は黄色。本編でのイライザの原語セリフ(手話)の字幕に合わせたためだが、劇場のピントの甘さと合わせ読み難かった。
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