覆面リサーチ ボス潜入「大手宅配ピザチェーン」を観る

NHK BSプレミアムで放送している「覆面リサーチ ボス潜入」もシーズン3となった。基はイギリス発の番組をNHKがフォーマット購入。オリジナルはWOWOWでも放送していた。タイトルの通り、取締役等の上級役員が名と姿を変え、現場に潜入。会社の問題点と改善策を導くというもの。とはいえ、かつての「浅草橋ヤング洋品店」の水戸黄門シリーズと同じ匂いがするのは気のせいか。

今回は「大手宅配ピザチェーン」。番組中で社名は示されないが、察しの通り。番組は某社の店舗内部、システムを映していく。正直、60分間のCMとみていい。企業側、局側のウィンウィンの関係である。社員の不出来が映ろうと、広告料に換算すれば安いもの。それにアピールするべき点は企業側に持たせている。そもそも潜入先は企業側が示しているからだ。

特に今回は最初に潜入した横浜エリアの店舗、そのマネージャーの手腕が光る。まだ22歳の女性がバイトから叩き上げで、Dピザ屈指の販売エリアを受け持つ。彼女の優秀さはピザ作りからデリバリまで細かな配慮に及び、観ている側は思わず唸らせられる。

放送中、彼女の家庭事情も明かされるが、本人承知とはいえ余計な演出。しかもボスが身を明かした後、会社から家族と海外旅行がプレゼントされる。このシリーズに最近多いが、業務以外のものを社員に何かを提供するのは、しかもテレビの前では偽善にしか見えない。そんなのは会社の中だけでやってくれ。

また番組的には優秀な社員だけでは．．．ということか。後半は若手マネージャー二人が登場。かたや先の横浜エリアの店舗と同じ年齢の男性。比較されるの必至で可哀想だが、会社的には彼女を光らせる演出。もう一人はまだ入社4ヶ月のマネージャー。いきなり店舗マネージャーでは、バイトの女の子にミスを指摘されても何も言えまい。

もう一つトホホな点が、自転車デリバリを売りにしている新宿歌舞伎町店。店長の言う、車間を取るというのは至極当たり前で、自転車を他車にガンガン接近させるボスの方に問題あり。店長をルール作りに巻き込むのはいいが、まずはボス自身が交通ルールからやり直したほうがいい。

この番組はリアリティーショー。だがどこまで演出、先に述べた会社側の狙いが含まれているか判らない。ただ異業種を観るのは大人の社会科見学であり、その点は興味深い。そして今、色々と世間を騒がせている会社の役員こそ、自社に潜入すべき時では。世間を気にしたコメント発表のみで今の所、自分の周りに来た動きは無い。おかげで土日無しで休出、残業は膨れ上がっているけど(激怒)。