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2017/12/29

2017年総決算「映画篇」

今年映画館で観た映画はイベント上映の「野火」を除き26本。子供の付き合い「ポケモン」も除けば25本といったところ。うちトップ10ならぬ今年はトップ12は次の通り。

171229

1位「ファウンダー ハンバーガー帝国のヒミツ」
2位「ドリーム」(原題:Hidden Figures)
3位「パッセンジャー」
4位「ハクソー・リッジ」
5位「この世界の片隅に」
6位「マンチェスター・バイ・ザ・シー」
7位「ブレードランナー 2049」
8位「22年目の告白-私が殺人犯です-」
9位「わたしは、ダニエル・ブレイク」
10位「メッセージ」
11位「沈黙 -サイレンス-」
12位「サバイバルファミリー」
各作品の詳しい映画評はこちら、

世間的には「ドリーム」を1位に挙げているが、天邪鬼な見解で「ファウンダー ハンバーガー帝国のヒミツ」を上位にとった。二作とも共通するのは史実である強み。映画特有の嘘もあるだろうが、それが気にならない程良くできている。特に「ファウンダー」が優っているのは作品の持つ毒の部分。それが今を生きる我々への教訓でもある。

「ドリーム」は当時の黒人女性の境遇、先見性、そして今に繋がっているという事実。本当に逞しい。彼女たち無くしてアメリカの宇宙開発、コンピュータ利用もここまで進まなかっただろう。同時に「ファウンダー」共々良きアメリカを描いた傑作である事に間違いない。

ジェニファー・ローレンスびいきに「パッセンジャー」は外せない。SF劇として良くできている。主人公の孤独に苛まれたゆえの行動には評価が二分されるが、二人の感情の行方は一つの可能性。エンディングでのモノローグが全てを物語っている。

「ハクソー・リッジ」「この世界の片隅に」ともに第二次大戦を扱った作品。だがそのアプローチは違う。「ハクソー・リッジ」は戦わずして戦地に向かう主人公の葛藤と奇跡。史実に加え一見プロパガンダと思いきや、戦争に関わる者たちを別の側面から見せる。「この世界の片隅に」は原作の世界観の持つ温かさ、反して戦争の怖さを伝える。

「マンチェスター・バイ・ザ・シー」はあくまでフィクション。だが主人公の心の傷が生々しく、思わず感情移入してしまう。オスカー受賞、ケイシー・アフレックのどこか朴訥で不器用な演技に惹き込まれた作品だ。

「ブレードランナー 2049」は35年ぶりの続編。オタク臭を嫌う声もあるが、変わらぬ世界観は正統派。人とレプリカントの境界線、そして人の在り方とは。源流は前作に同じ。今に照らし合わせたアップデート、そして変わらぬP.K.ディックの世界そのものだろう。

「22年目の告白-私が殺人犯です-」は邦画でこれぞと思わせた作品。原作は韓国作品ながら脚本の練り込み、テンポ、演出とキャスティングの妙に惑わされる傑作。雨後の筍のごとく恋愛ものを乱造する日本映画界に喝を入れるような出来。

「わたしは、ダニエル・ブレイク」はケン・ローチ監督の社会派作品。現代、システム化された社会に立ち向かう主人公。日常的なエピソードの積み重ね。そこに人の優しさ、温かさを感じさせる中、彼を待つ末路とは。けっして他人事とは言えない社会構造に一石を投じる。

「メッセージ」は 「ブレードランナー 2049」を撮ったドゥニ・ヴィルヌーヴによる作品。"ばかうけ”共々、常識的な感性に問うまさにSF的な発想、創造した作品。ラストの後味は家族持ちの方なら共感できるだろう。

「沈黙 -サイレンス-」は遠藤周作原作の日本文学をマーティン・スコセッシが映画化。布教と異国文化の狭間、信教と信念、現実に揺れる宣教師。そんな主人公を「ハクソー・リッジ」のアンドリュー・ガーフィールドがこちらも極限状態で演じた。日米英の製作陣努力による賜物。

「サバイバルファミリー」は僅差、ベスト10に入れても良い出来。3.11を忘れた人々への警鐘。単に企画力だけに止まらない、矢口史靖監督の物語作りにいつも感心させられる。

その他も簡単に。今年のMCUやDCUのヒーロー群は出来不出来の差が大きかった。上位に入れるなら「ドクター・ストレンジ」かなぁ。それ以外では、映画に新たな視点を加えた面白さの「ハードコア」も捨て難い。冒頭のカーチェイスが圧巻も後半やや失速な「ベイビー・ドライバー」。「ラ・ラ・ランド」はサントラは出色の出来ながら、やはり音楽が古典的な恋愛映画である物語に勝ちすぎた。傑作「セッション」を超えられず。

「スター・ウォーズ/最後のジェダイ」の旧作を否定するようなコレジャナイ感は随一。最後まで観れたのはルーカスの原作遺産ゆえ。ただガッカリ度でいけばダントツでクリストファー・ノーランの「ダンケルク」だろう。あまりに客観的な視点ゆえに感情移入のできない、拠り所のない作品になってしまった。

最後にイベント上映で観た「野火」は忘れられない。今、この国が向かう道への警鐘。製作者の主張。「沈黙 -サイレンス-」にも出演した塚本晋也監督の想いは受け止めた。

ビデオではノンフィクションの「疑惑のチャンピオン」、SF密室劇「エクス・マキナ」が印象的。ただ劇場での密室感、集中力は捨て難い。来年も沢山の作品を劇場で観たい。

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