「マンチェスター・バイ・ザ・シー」を観る
今日はケイシー・アフレック主演「マンチェスター・バイ・ザ・シー」を観てきた。今年のアカデミー賞でケイシーが主演男優賞、ケネス・ロナーガン監督が脚本賞を受賞した作品。Amazonが本作を製作、またベン&ケイシーのアフレック兄弟の盟友でもあるマット・デイモンが製作に参加している。
ボストンで便利屋に勤めるリー。客とのやり取りは不器用だが、仕事は堅実。そんな彼のもとに兄ジョーが倒れたと連絡が届く。リーはかつて住んでいた、兄のいるマンチェスターに車を走らせるのだった。
兄ジョー、ジョーの息子パトリックとの関わり。そしてリー自身、そのような経緯に至った過去が徐々に語られていく。器用に生きるパトリックにとってはまるで寅さんのようなリーだが、淡々と描かれ、笑いを誘うような作品ではない。むしろリーは不器用過ぎて歯がゆいほど。ただそこに至る大きな理由がのちに明かされる。
本作を観て、まさにリーはアカデミー賞授賞式でのケイシーそのもの。監督は明らかにケイシーを充てて脚本を書いたであろうと想像する。そこに生まれる共感は本作で感じ取れる。またありがちな成功や再生を描くのではなく、僅かな成長だからこそ心から共感できた。世の中を器用に生きられる人にこの作品の良さはけっして伝わるまい。
物語はマンチェスターの海に始まり、同じ海で終わる。地味なエピソードの積み上げと全体的に厳しい季節感が伝わる映像で楽天的な作品で無いが、二人が海に繰り出す姿、エンディングに温かさを感じた。
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