「エクス・マキナ」を観る
Amazonプライムビデオで「エクス・マキナ」を観た。昨日の「メッセージ」と同じく、去年から非常に気になっていた作品。まずポスターワークに一目惚れ。だが小品ゆえに近場の映画館では上映されなかった。ちなみに本作は昨年のアカデミー賞で「マッドマックス 怒りのデス・ロード」を抑え、最優秀視覚効果賞を受賞している。
IT企業に働くケイレブは社内抽選に当たり、社長ネイサンの自宅に招待された。ネイサンは大統領でも会えないほどの著名人。そんな彼がケイレブを迎えたのには理由があった。それこそAI知能へのテストを行う事。疑問を持ちつつテストに同意するケイレブの前に現れたのは、女性型ロボットのエヴァ(AVA)だった。
「メッセージ」と同様、大人向けの静かなるSF作品。日本なら「世にも奇妙な物語」にありそうな話。全編ほぼ会話劇であり、時に哲学的。一見、退屈に思えるかもしれない。だが戸惑うケイレブ、ネイサンの思惑、進化するエヴァとの探り合い等に考えを巡らせつつ、オスカー級のビジュアルに圧倒され、間も無くそんな事は気にならなくなる。
キモとなるビジュアル。日本ではリメイク版「キカイダー」が未だメタルスーツを推し出す中、こちらは現実の中に溶け込むCGスーツ。 ヒロインたるエヴァはアリシア・ヴィキャンデルの美しさと相まって、ケイレブ同様に我々も惹き込まれる。その時点で本作は大成功、後半に至るシークエンスに嵌められていく。
本作は「ウエスト・ワールド」「アイ,ロボット」と並ぶAIの進化と未来への警鐘を描くと共に、「GHOST IN THE SHELL / 攻殻機動隊」のような未来的哲学も感じる。福音か、終末論か。終劇に至るプロットはその行く末に思わず夢想してしまう。それがSF作品の醍醐味であり、本作は興味深い一本となった。
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