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2017/04/16

「高い城の男 シーズン1(吹替版)」を観る

Amazonプライムのコンテンツ、「高い城の男 シーズン1(吹替版)」を観た。原作は既読。フィリップ・K・ディック原作の戦後if。第二次大戦を枢軸国である日本とドイツが勝ち、両国に二分された1960年代のアメリカが舞台。ある出来事からレジスタンスに加わるジュリアナ、その恋人フランク、日本の貿易大臣タガミ、ナチス親衛隊大将のジョンらによる物語。

原作はあくまでオムニバスであり、登場人物たちは他のエピソードで一切絡まない。しかしこのドラマでは徐々に絡み合い、最後大きなうねりとなる。また「高い城の男」「イナゴ身重く横たわる」は原作とは異なる形で登場する。

そもそもディックの映像化の場合、全てが原作通りとはいかない。ディックの持ち味は、その世界でのパーソナルな部分の描き方にあるからだ。シーズン1、全10話もそうしたアプローチが垣間見え、ドラマとしてはゆっくり、淡々と進んでいく。ただこのドラマの見どころは、原作では読者の想像力に任せたifの世界が映像化された事だろう。

サンフランシスコは日本語、日本文化に溢れた街並み、「JAP」と裏で陰口を叩く人々。街ではスバル360やトヨタカローラが走る。あるエピソードで劇中曲として「上を向いて歩こう」が流れるのだが、果たしてその世情でこの歌が生まれただろうか。一方、ドイツに統治されたニューヨークは整列然とした街にナチス将校たちが現れる。 その上で原作は1エピソードに過ぎなかった日本とドイツの攻防が、このドラマで大きな軸となっていく。

この物語に難があるとすれば、ヒロインに感情移入ができない事だろう。何しろ恋人の家族を巻き込むだけでなく、彼女の後に血が流れない事はない。それがこの物語が描く時代なのか。日本人としてみれば、タガミやキド警部の想いのほうが近い。最終話、タガミの見た世界、そしてドイツのラスボスが恐れた世界が興味深い。繋がるシーズン2はどのように描かれるか楽しみだ。

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