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2017/03/04

「第89回アカデミー賞授賞式」を観る

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月曜日に行われた「第89回アカデミー賞授賞式」をWOWOWによる字幕付き全長版で観た。今までなら翌日朝からすぐに観始めるのだが、年初から異動してから朝が早くて時間が取れない。週末にまとめて観る事になった。加えて今回の最優秀作品賞発表での出来事はYahooニュースに載ってしまってネタバレ。ただ切り取られたニュースよりも、改めて冷静にその過程を追うと興味深かった。

盛り上がる「ラ・ラ・ランド」のスタッフ、キャストは壇上に集合、一人一人熱いコメントが繰り広げられる。そんな中、間も無くインカムを付けたスタッフが確認に近づき、後ろで説明している様子。これを受け、「ラ・ラ・ランド」のプロデューサーは事態を冷静に受け止め「ムーンライト」と書かれた紙を見せたのだ。こんな発表、東京スポーツ映画賞ならたけしお得意のボケに終わりそうだが、世界最高峰のオスカーとなると冗談では済まない。ただ受賞後のスピーチや記者会見に互いをリスペクトする両作スタッフが感動的であった。

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司会はコメディアンのジミー・キンメル。途中、交流のあるマット・デイモンを弄りつつ進行。ジミーだけでなく番組進行上のアナウンスまでも、主演男優賞のプレゼンターであるマットを弄る始末。あのリアクションを見ると事前打ち合わせ無しだったのかも。ただその直後、盟友ベン・アフレックの弟、ケイシーの名が呼ばれて帳消し。またケイシーのスピーチもなかなか味があって良かった。

今年のテーマは「影響力」だったそうで、セス・ローゲンが選んだのが「バック・トゥ・ザ・フューチャー」。間も無く会場ドルビー・シアターの壇上にはデロリアンが。しかも車から降りてきたのが、自動紐結び機能付のNIKEを履いたセスとマイケル・J・フォックス。興奮のセスにマイケルの冷静なスピーチ。そしてプレゼンターへというのが今年の演出の一つだった。

またハリウッドバックステージツアーをダシにファン軍団が授賞式と知らずに乱入。エマ・ストーン、ライアン・ゴスリングにメリル・ストリープのいい人っぷり。デンゼル・ワシントンに至っては新婚黒人夫婦の立会人としてセルフィーに収まる始末。そのやり取りも可笑しかった。

さてここ数年作品賞候補が増え、今年は9作という多さながら小粒。下馬評は「ラ・ラ・ランド」一色。しかしながら監督賞、主演女優賞等、6部門を受賞まで。ただ個人的にデイミアン・チャゼル監督の最年少受賞は興味深い。実際、色彩溢れた流麗な音楽映画を作る手腕は素晴らしかったからだ。

もちろん授賞式で紹介された映像から、最優秀作品賞の「ムーンライト」に復活メル・ギブソン監督の「ハクソー・リッジ」、そしてケイシー・アフレック主演、マット・デイモン製作の「マンチェスター・バイ・ザ・シー」は是非観てみたいと思わせた。

授賞式中、プレゼンターや受賞者からのトランプ大統領、政治へのコメントが注目されたが、”過大評価”なメリル・ストリープを弄るジミー・キンメルもあくまで最小限に留め、むしろ大統領のアカウントへリツイートする可笑しさがあった。これにリプライするようならトランプも面白い奴なのに。

やっぱり最優秀外国語映画賞のイラン人アスガー・ファルハディ監督の欠席による抗議のように静かなる対応の方が強い。ただハリウッドの政治への影響力の限界も言われるが、別にいいんじゃないだろうか。ハリウッドが戦う姿は一種の伝統なのだから。それに視聴率低調と言われるが、やっぱり毎年アカデミー賞授賞式は面白い。ギャラでいけば、授賞式は充分にハリウッド大作なのだから。

<追伸>
WOWOWで放送された本国版のエンドロール、そのBGMが布袋寅泰の「新仁義なき戦いのテーマ」(BATTLE WITHOUT HONOR OR HUMANITY)だった。「キル・ビル」や「トランスフォーマー」でも使われた楽曲だが、何となく日本人として嬉しくなった。

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